最新ニュースをお届けしましょう。遺跡調査の目的で、8月に2週間ほどグアム島とミクロネシア連邦のポーンペイ島に行った時のことです。今回は、グアム島での危険と背中合わせの調査体験についてお話しします。
私にとって、グアム島はミクロネシアの考古学調査の中継点になっています。毎年、調査の前後にはグアム島に立ち寄ることにしています。歴史保存局で情報交換をしたり、グアム大学のミクロネシア研究所で調査に関する資料を収集したりするためです。グアム島での滞在は、オレゴン大学大学院以来の親友で、現在グアム大学で研究されているリッチ・オルモ教授宅に決めています。
ランチと大量の飲料水を車に積み込み、リッチの案内でグアム島北部にある米軍のアンダーソン空軍基地内の遺跡の見学に行きました。ゲート横の事務所で基地に入る許可を頂き、実弾演習の予定を確認の上基地の中へ。
広大な空軍基地は隆起珊瑚台地上に築かれており、海岸は百数十メートル崖下にあります。遺跡は海岸線の砂浜を前にした森の中や、崖の中腹の洞窟の中にあります。崖の上から見る遺跡周辺の景色は感動モノですが、一部の階段やトレイルを除き、猛暑の中を珊瑚がむき出しになったような崖を注意深く下りなくてはならないのです。
高いところが苦手な私にとって、これほどの恐怖はありません。もし足を踏み外したら・・・・なんて、ネガティブな思いをよぎらせ、はらはらしながら下りていきました。森の中には、保存状態の良い先史時代の井戸や建物跡が残っていました。基地には一般の人は許可なしで入ることができないので、破壊されないで守られてきたのでしょう。汗だくの体に攻撃を仕掛けてくる無数の蚊を払いのけながら、リッチの興味深い遺跡の説明に、興奮を隠すことができませんでした。
次に向かった洞窟遺跡へは、上がり下がりの凸凹の珊瑚の岩場をただただ怪我のないことを祈りながらゆっくり進むしかありません。陰を見つけては休憩。崖の中腹の凹みで、眼下のエメラルドグリーンからネイビーブルーに少しずつ変化する美しい海を見下ろしながら食べたランチを忘れることができません。遺跡ツアーに5時間ほど費やしたでしょうか。私の足には、大小様々な擦り傷や切り傷が残っていました。疲れ切った同世代のリッチと顔を見合わせて、思わず二人で吹き出してしまいました。「10年若かったらなあ」とでも言いたかったのでしょうか。