January 26, 2008

ポーンペイ島part2

 ポーンペイ島には、以前ご紹介したカヴァ酒と並んでビートルナッツという椰榔(びんろう)の木の実を噛む習慣があります。州都コロニアを中心に若者たちの間に広がっていて、タバコと同じように嗜好品として利用されています。
 東南アジアが原産で、台湾やフィリピンなどの東南アジア島嶼地域に近いグアムやヤップやパラオなどの島々では、古くから盛んに利用されてきました。台湾の町を歩いていると、漢字で「椰榔」と書かれた看板をあちらこちらで見かけます。
 ミクロネシアでは、堅い椰榔の実を歯で半分に割り、ライムをふりかけキンマと呼ばれる植物の葉に包んで噛みます。なんと、タバコを半分ほぐして一緒に噛む人もいます。

店に寄ってみると、カウンターにばら売りされている実やたばこが並べられています。また、ときどきヤシの葉で編んだバスケットをぶら下げている人を見かけることがあります。その中にビートルナッツのキットを忍ばせているのです。清涼感が味わえると言いますが、その渋さは渋柿の比ではありません。噛んでいるうちに、実の色と唾で口の中は真っ赤。血のように染まった赤い唾を吐きながら噛み続けるので、道路や壁などにその痕跡が残されています。

 グアムに初めて行ったとき、真っ赤に染まった歯の不気味な笑顔のごあいさつに、笑顔のお返えしができなかったことを思い出します。長年噛み続けている現地の人たちの歯は、磨り減って黒くなっています。グアムの先史時代のお墓から発掘された人骨の歯にも、その特徴が見られます。
 ポーンペイ島では、多くのタクシー・ドライバーたちがビートルナッツを噛みながら運転しています。ドアを開けて道路に唾を吐きながら高速運転するので、目的地に着くまでハラハラものです。その上、乗り合いタクシーなので、複数の同乗者が窓から真っ赤な唾を吐きながらの走行。雨の日は、運が悪かったとあきらめて下さい。閉め切った密室で空き缶が回され、そこに唾を吐き貯めていくので、その臭いにどれくらい我慢できるかが勝負のしどころ。「ところ変われば品変わる」と言うことでしょうね。