酉年の「文学」の講義で、「鳥の伝承文学」をやりました。日本はもちろん、世界各地に鳥にまつわるお話がごまんと存在します。古代から、人間は鳥にさまざまな思いを託してきたのです。その鳴声は人間に何かを教え、死んだ人の魂は鳥になって天がけるのだ、と考える。あるいは、この身が鳥であればなあ……と憧れる。『万葉集』巻五、山上憶良の「貧窮問答歌(びんぐうもんどうか)」の短歌に、
この世をば憂しとやさしと思えども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば
とありますが、まあ、現代(と言っても結構古いけど)の歌でも「翼をください」以下よく似た傾向はいろいろあります。
さて、私も人間のご多分に漏れず鳥が好きです。食べるのもよろしいが(焼き鳥、から揚げ、美味です)、見るのも好き。自宅でもメジロを手なづけようと努力しています。大学でもしっかり鳥を観察しています。関西外国語大学の敷地内には結構な種類の鳥がうろうろしています。一限の講義がある日は、早い日には七時半ころに大学に着きます。正門から本館まで歩く間に今日も五種類の鳥を見ました。カラス・スズメ・ドバトにキジバトはお馴染みのラインアップ、その他にメジロとシジュウカラがいました。日によっては、カワラヒワやムクドリ・ヒヨドリ・コサギなどを見ることが出来ます。ドバトはしょっちゅう研究室の窓の外を歩いています。時々本館との渡り廊下のガラスに激突しているのは、ガラスに残された痕(あの人たちは砂浴びするので、埃で捺したような)が示しています。メジロは本館横の低い山茶花の中をごそごそ飛び歩くこともあって、大学が中宮へ引っ越してきてすぐの頃、ネズミが散歩しているのかと勘違いしました。彼ら(彼女ら)は必ず複数で活動するので山茶花の植え込みがごそごそ揺れて、思わずしゃがみこんで覗いたら、目元ぱっちりのメジロが四、五羽せせこましい樹幹をぱたぱたしていました(ああ、びっくりした)。
先日は、何と五年ぶりにハヤブサのつがいを見ました。本館の上に止まっているメスと、上空をすべるように飛ぶオス。青灰色の翼に胸の模様、ほぼ間違いなくハヤブサでした。時期的に、巣作りの場所を探していたのだと思います。翌朝早く本館の近くを歩いていたら、キジバトがひっくり返っていましたが、検分したところでは多分ハヤブサの狩りの後です(胸肉がきれいにこそげられていたから。カラスがつつくとああはなりません。)。残念ながらその後ハヤブサのご夫婦はお見かけしなくなりました。彼らが無事子育てに励んでいることを祈ります。
皆さんは鳥の名前を幾つくらい言えますか?関西外国語大学においでの節は、出没する鳥たちを是非観察してください。