ポーンペイ島をあとにして、500キロほど東にあるコスラエ島を訪れてみましょう。空から見るコスラエ島は、女性が横たわっているように見える珊瑚のリーフに囲まれた美しい火山島です。そのため、「眠れる 美女」というニックネームを持っています。沿岸地域は見事なマングローブの森に囲まれ、エコツーリズムの一役を担っています。
敬虔なキリスト教徒の島として知られるコスラエ島では、週末は安息日。海へ出て魚を捕ったり、畑で働いたりすることは自粛されています。店も閉まってしまいます。また、お酒の規制も厳しく、旅行者といえどもホテル以外の店では購入許可書が必要です。以前、週末を利用してコスラエ島を逃げ出し、ポーンペイ島に遊びに来たアメリカ人と遭遇したことがあります。そのときに話していただいた意味が、島を訪れて初めてわかりました。
ところで、コスラエ島にはレロ遺跡と呼ばれるポーンペイ島のナン・マドール遺跡によく似た巨石建造遺跡があります。ナン・マドールのやや小型版ですが、島の東側のリーフ島の海岸に建造されていて、立地条件や石積みの方法などに似た特徴がたくさんあります。このような巨石建造遺跡は太平洋で、ポーンペイ島とコスラエ島の二ヶ所にしかありません。
一方、異なる特徴もいくつかあります。たとえば、ナン・マドール遺跡では1000年前から500年ほどの間に外洋に向けて珊瑚のリーフ上に人工島が増築されたのですが、800年前に始まったレロ遺跡では島側に向けて増築が行われました。そのため、現在のナン・マドール遺跡は自然の水路によって区画されているのですが、レロ遺跡は珊瑚が敷き詰められた小道で区画されています。また、首長たちが埋葬されたお墓の形態も異なっています。1800年代に訪れた西欧人の記録により、ナン・マドールはとっくの昔に廃墟と化していたのですが、レロは当時も使用されていたことがわかっています。
二つの島の関係は、遺跡の構造だけでなく、発掘で採集されている真珠貝製のルアーや貝製首飾りの類似性からも明らかです。もっと詳しいことを知るために、遺跡から出土している遺物の分析と比較研究をしているところです。