ミクロネシアの東端に、ドーナツみたいな形をした29の環礁島と4つの隆起珊瑚島から成るマーシャル諸島共和国が横たわっています。わたしが初めてそれらの珊瑚の島々を空から見たのは、1984年にアメリカのオレゴン大学の発掘調査隊員としてアメリカからハワイ経由で西方のポーンペイ島へ向かった時でした。ハワイを早朝に出発して、いくつかの島々に寄港(航)しながら目的地の調査地ポーンペイ島へ向かう空路です。太陽を背に受けながら西に向かって飛行するため、ずっと明るいままマジュロ環礁の空港を目指す贅沢な旅です。
上空から、マーシャル諸島のずらりと連なる環礁島が見えます。中央のラグーンのエメラルド・グリーンと、白い環礁と、木々のダーク・グリーンと、外洋のネイビー・ブルーの色彩コントラストの美しさは、言葉では表現できません。その美しさに勝るものはないと言っても、過言ではありません。その美しさに機内は乗客の歓声であふれ、感動の余りわたしは鳥肌が立っていました。
子供の時に読んだ『宝島』の中で、作家スティーブンソンがマジュロ環礁の美しさを、「太平洋の真珠」と表現していたことを思い出しました。この美しい環礁島は、とても残念ですが皆さんご存じのように現在大きな問題を抱えています。そうです。地球温暖化による海面上昇の影響で、沈んで行く島々の一つになっているのです。海面から高さわずか数メートルしかないリング状の環礁島は、ほんの少しの海面上昇で海岸の浸食などの影響を受けてしまうのです。
美しいラグーンに沿って海岸を歩いていたとき、まるで人工的に並べられたように等間隔に横たわるヤシの木を見たことがあります。それが海面上昇による浸食の結果だとわかるのに、時間はかかりませんでした。その傍らで、何も知らない子供たちが無邪気に遊んでいました。明るくはしゃいでいる子供たちを見ていると、居たたまれない気持ちになってしまいました。自分のためだけでなく子供たちの未来のためにも、地球に優しい人になれるよう努力中です。
マーシャル諸島の世界最大の環礁島であるクワジェリンにも寄港しますが、ここはアメリカ軍の基地の島で、残念ながら飛行機から降りることが許可されていません。それどころか、飛行機の窓から写真を撮ることさえ禁止されています。