今回は、西ミクロネシアのパラオ島を訪れてみましょう。石のお金で知られているヤップ島から500キロほど南西に位置しています。広大なラグーンに点在する200ものキノコ状の小島から成るロックアイランドは、その目を見張る美しさで日本の観光客の人気スポットになっています。
第一次世界大戦終結後、ドイツが支配していた広大なミクロネシアの日本委任統治時代が始まりました。日本化推進から日本語教育が行われ、宗教として神道が導入されました。サイパン島の彩帆(サイパン)神社や、ミクロネシア統治中心の南洋庁が設置されたパラオ島には南洋神社が建設されました。そのため、年配の方々は今でも驚くほど流暢な日本語を話し、各島に神社跡が残っていて、とても不思議な気持ちになります。
第二次世界大戦後にはミクロネシアはアメリカの信託統治時代を迎え、英語が公用語となり現在に至っています。ご存じないかも知れませんが、日本に最も近い英語圏で、島の言葉と日本語か英語が話されるバイリンガルの地域でもあります。
不思議にも、パラオ島にしかない巨石遺跡やテラスと呼ばれる丘陵を階段状に削った砦跡のような遺跡が残されています。なかでも、ストーンマネーはこの島で作られ、カヌーではるばるヤップ島に苦労して運ばれました。その製作跡がいくつか残っています。また、ストーン・フェイスと呼ばれる表情の異なる人の顔をかたどった巨石が、島の至る所に立てられています。それぞれの石には伝説が伝えられていて、見ていると楽しくなってきます。島の北端部の眼下に太平洋を見渡せる平坦地に、モノリスと呼ばれるグアム島のラッテストーンのような柱状の巨石が並べられた遺跡があります。
ところで、所々の村に見られるバイと呼ばれる伝統的な集会場は、空港やコミュニティ・カレッジの休憩場などのモチーフになっています。また、バイに描かれた伝説や神話を分厚いマホガニーの板に彫刻したストーリー・ボードと呼ばれるおみやげがあります。日本委任統治時代に土方久巧(ひじかたひさかつ)という芸術家が広めたもので、今ではパラオの伝統工芸になっています。こんな風に伝統って継承されるのですね。