スペインは、キリスト教のカトリック信者が多い国です。紀元前3世紀にローマ人がやってきてから、ローマ人の文化がスペインの文化の基盤となりました。宗教もそうです。途中でイベリア半島(スペインがある半島)に、イスラム教徒たちがやってきて、キリスト教徒と長い戦争になりますが、キリスト教徒が再征服(レコンキスタ)して以来のカトリック教国ですので、キリスト教の行事を大事にします。
スペインのお正月というのは、クリスマスウィークの中にあるようなものです。12月になりますと、街中にクリスマスイルミネーション、デコレーションが現れます。クリスマスイブ近くになると遠くにいる家族も帰省して、イブは家に集まって食事をします。親戚が集まったりして、日本のように、カップルだけとか核家族だけとかなんて寂しいことはないのです。一人きり?それは死んだほうがましって、言われました。25日は静かな朝を迎えます。イブに徹夜している人も(子供も)多いので、比較的ゆっくり家で過ごします。もちろん、教会のミサにでかける人もいます。町中のお店が全部閉まっていて、飢え死にしそうになったこともありました。
それから31日まではクリスマスデコレーションや音楽の中で過ごし、大晦日は宗教と関係なく、町中に繰り出す人も多く見られます。そして真夜中まで、人が集まるところで、待機します。家にいる場合はテレビで、マドリーの時計が映し出されます。皆、それぞれ12粒のブドウを両手一杯に持ち、それを時計の鐘の音が12時を打つのと同時に口の中に放り込んでいきます。「ボーン、ボーン」という音に合わせて。これは簡単に思われるでしょうが、皮付き、種入り、時にはつるの端(トゲのようなもの)がついているものを、食べるんですよ。
ブドウだって、小さいサイズじゃなく、マスカットのような大きな粒です。話しには聞いていましたが、鐘の音は早いし、ブドウのトゲはささるし、窒息しそうでした。その時の私の顔は、きっと目を白黒させながら、必死に真っ赤な顔で、ほおばっていたと思います。それが終わると、そこら中の人々、知り合いも見知らぬ人とも抱き合って、「おめでとう」と言って、頬にキスをします。夫の頬に真っ赤な口紅(私じゃないですよ)がついていて、大笑いすることもありました。
後は、朝まで歌ったり、踊ったり、町中が華やかです。若い人たちは家に帰らず夜通し、友だちと楽しんでいます。ブドウを食べる習慣はそう古い習慣じゃないということですが、もう一つ新しい習慣として、恋人が欲しい人は、真っ赤な下着を着て、その日を過すのだそう。そうすれば、良い相手が見つかるんだって。それを実行して、幸せな結婚をしたという知人がいますよ。
さて一方、結婚している人々は、新年おめでとうの乾杯の前に、シャンパングラスに結婚指輪を外して、その中に入れ、その指輪の入ったシャンパングラスを飲み干します(指輪は残して)。そうすると幸せになるらしいです。私もしたかって?トライはしましたよ。でも悲しいかな指輪が抜けなかったんです。結婚して数年、外さずに暮らしてきたもので。これが本当の幸せ太り?
新年過ぎても、まだクリスマスウィークは続きます。1月6日の御公現の日まで。5日の夜にクリスマスプレゼントが届くんですよ。サンタさんからではなく、東方三博士から。その日でクリスマスも学校の休みも終わるんです。
バスクのクリスマスとお正月は、また一味違います。それは、またいつかお話しますね。