図書館の書庫は結構お気に入りの場所です。図書館の地下にあってあまり人に出会うこともありません。ここの電動書架を右へ左へと移動させ、学術雑誌の中からお目当ての論文を見つけてコピーを取るという作業をするだけで不思議な充実感を味わいます。
図書館の書庫が好きだなんて言うと、私のことを読書の虫と思う人がいるかもしれませんね。でも、実は私は読書嫌いで有名です。今は職業上かなりの読書をしますが、楽しみや時間潰しのために本を手に取るということはほとんどありません。必要にせまられて仕方なく読んでいるのかもしれません。
私が大量の本に触れるようになったのは30歳を過ぎて大学院生としてアメリカに渡ってからです。初めての本格的な読書体験が英語という外国語だったので読むことはとても苦痛でした。1週間の間に課される読書の宿題をまともにこなすのはとても不可能でした。追い詰められた状況の中で、次第に本を読むというより、本の中から自分が必要な情報を探し出すようになっていました。そんな作業を繰り返す中で、本の中に自分の疑問に答えてくれるたくさんの貴重な情報が埋もれていることに気付き、それを探し出すのが楽しみになりました。図書館が宝の山のように見えてきたのだと思います。
その後、大学院生活のかなりの時間を図書館で過ごしたと思います。あの当時はそこが素晴らしい所だとは感じていませんでしたが、時間が経つと懐かしさとともに図書館での思い出が美化されているのでしょう。書庫に降りると、書架の並んだ風景や古い本の臭いと共にその当時が思い出されるからお気に入りの場所なのかもしれません。