澤田治美・外国語学部教授編「ひつじ意味論講座」全7巻が完結 「図書新聞」が澤田教授をインタビュー

 

意味論・語用論を研究テーマとする外国語学部の澤田治美教授が編者を務めた「ひつじ意味論講座」(ひつじ書房)の第7巻「意味の社会性」が今年7月に出版され、全7巻が完結した。学術出版のひつじ書房設立20周年企画として、2006年12月に最初の編集会議が開かれてから9年を費やし、83人が執筆に加わったユニークな意味論講座の完成となった。 
 

▲「図書新聞」のインタビューに答える澤田教授

 
「ひつじ意味論講座」完結をめぐり、澤田教授は10月19日、ひつじ書房(東京都文京区)で「図書新聞」のインタビューを受けた。この中で、澤田教授は、「言語学を文法論といった狭い領域に閉じ込めるのではなく、言葉と人間、ものの考え方、社会との関わりを意味という綱でくくってみようとした試みで、私としては成功したのではないかと自負していると」と、意義を語った。
 

▲完結した「ひつじ意味論講座」全7
 

澤田教授によると、言語学は言語の形式の側面を研究する「構造主義」から始まったが、言葉を内容の側面、さらにもっと広く場面や社会との関わりの中でとらえることが必要だと考える「意味論・語用論」を重視する立場から講座を企画した。

▲ひつじ書房(東京都文京区)で行われた図書新聞記者(左側)の澤田教授(右真ん中)インタビュー
 

講座は、同心円的な構成になっており、中心円が「命題的意味」として、事柄を表す意味(第1~2巻)、その外側が、話し手がどういう気持ちで話しているかなどを考える「モダリティ(心的態度)的意味」(第3~5巻)、さらに「発話場面的意味」(第6巻)、最も外側の円としての「社会・文化的意味」(第7巻)からなる。

 

モダリティや主観性に計3巻を充てて手厚く扱ったのと、最終巻で、これまで取り上げられることがなかった災害、司法、治療、スポーツといった社会・文化分野の意味を考えたのが特徴だ。執筆陣は、枠組みや流派にとらわれず、幅広い分野から参加。「こうした構成をもった意味論講座は日本で皆無だった。世界でも例がないのではないか」(澤田教授)という。
 

▲ひつじ書房の松本功社長(右)、海老澤絵莉編集主任(左)と澤田教授
 

澤田教授は、学生へのメッセージとして、「英語学習を単なる暗記するものと考えるのではなく、言葉の背後には、人間があり、社会があるという思いをもって学んでほしい。<ジョンでもこの問題は解ける>という時、なぜ<でも>というのか。そういうことを考えれば血の通った言語学習ができるだろう。<GO FOR it !(語学の、その先へ。)>に関連して言えば、7巻がお勧めだろう」と話している。

 

図書新聞の澤田教授インタビューは11月21日の特集号に掲載される予定。

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