スペイン語に「役割語」はあるのか 神戸市外国語大学の福嶌教隆教授が講演

 タイトルの副題に「わしは大博士じゃ」「それホントあるか?」と掲げられた講演。1112日、神戸市外国語大学の福嶌教隆教授を迎えて「スペイン語の『役割語』」について語っていただいた。イベロアメリカ研究センター主催のスペイン語公開講座で、NHKラジオ講座の講師でもお馴染みの福嶌教授は、マンガなどの事例をあげながら、特定キャラクターの特徴ある架空の言葉遣いで日本の「役割語」が、スペイン語にも存在するかを解き明かした。福嶌教授のリアルな台詞表現に約100人の市民や学生から笑いがもれていた。

▲発声、顔の表情とも豊かに「役割語」の比較を表現してみせる福嶌教隆教授

 講演では、日本語の①博士語②お嬢様語③非標準語④武家語⑤異人語―の役割語がスペイン語にもあるか? また、日本語の役割語はスペイン語にどう訳されているか? について比較した。

①尾田栄一郎「ワンピース」から「過去の全ての人間のものじゃ。全てを受け入れるべきじゃ」がスペイン語では「過去の全ての人間の遺産だ…。それはその総体として受け入れられるべきだ!」となり、一般的ではないとみるべきだとした。②夏目漱石の「吾輩は猫である」を比較。文字面だけをみるとスペイン語には役割語はないとみるべきだ。③方言の特徴を誇張して表現し、存在する。④「おのれ…愚弄しおったな! 覚悟せい 坊主!」を比較して、古い代名詞vosとその対応形式を使うことで「武家語」らしいところが存在する。⑤発音の癖を誇張して表現することで存在する―とした。また、スペイン語の諺の演劇性について触れ、「五十歩百歩」を例にあげ、諺は会話から成り立っていると語った。
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