The Tempest公演に600人 恒例 ITCLのシェイクスピア劇 

 イギリスの劇団「インターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン(ITCL)」による英語劇「The Tempest」が519日、中宮キャンパスの谷本記念講堂で上演された。国際文化研究所主催の公開講座で、日本語字幕付き。単独作としてはシェイクスピア最後の作品とされるロマンス劇で、ITCLとしても今回の世界公演ツアーで初めてお披露目する新作とあって、音響効果などに様々な工夫が凝らしてある。市民や本学の学生、教職員、留学生ら約600人が、じっくりと舞台を鑑賞した。      

 
▲ 島に漂着したファーディナンド
 

 The Tempestは、孤島を舞台に人間と精霊が復讐劇、愛憎劇を繰り広げる。そして、最後に和解するのは、シェイクスピア晩年の作品に共通のテーマ。ナポリ王・アロンゾー、ミラノ大公・アントーニオらを乗せた船が大嵐に遭い、12年前に弟アントーニオによって大公の地位を追われ追放されたプロスペローと娘ミランダが暮らす孤島に漂着した。船を襲った嵐は、復讐のためにプロスペローが妖精に命じて用いた魔法の力によるものだった。 



▲ プロスペローの魔法によって眠り込むナポリ王・アロンゾー

 王と離れ離れになったアロンゾーの息子、ファーディナンドはミランダと恋に落ち、プロスペローに課された厳しい試練を克服して結婚を許される。

▲ プロスペローに結婚を許されたファーディナンドとミランダ

 

 一方、アントーニオがナポリ王殺害を計ったり、島に住む怪人・キャリバンがプロスペローを殺そうとしたりするが、いずれも未遂に終わる。そして、プロスペローは「復讐より赦しこそ尊い行為。」と気づき、復讐を思いとどまり、過去の罪を悔い改めさせたうえで許すことを決意。一同は和解し、若い2人の婚礼を執り行い、大団円を迎える。

 プロスペローに仕える妖精・エアリエルが姿を現さずに声だけ聞こえるシーンや、舞台上を歩く際に奇妙な音を出す演出もあり、音響効果は抜群。観客は目と耳でシェイクスピア劇を堪能した。

▲ 手を取り合う2組の親子


▲ 観客にあいさつする出演者

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