航空業界めざす学生は「夢を叶えてほしい」 エアラインフェアでANA役員・OG・OB・内定者が後押し

 航空業界への就職をめざす学生が業界の魅力を知って、夢の実現に道を拓いてほしい―。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)2社の協力を得て「関西外大エアラインフェアin collaboration with ANAJAL」が12月10日、中宮キャンパスで開かれ、学生約600人が参加した。

 谷本記念講堂での第1部では、谷本義高大学学長の挨拶に続き、ANA取締役専務執行役員・河本宏子氏による「お客様と仲間の笑顔を最高の歓びに―航空業界を目指す皆さんへ」と題した基調講演が行われた。

▲基調講演を行うANA取締役専務執行役員の河本宏子氏

河本氏は、①航空業界全体を取り巻く環境は、今どのような状況にあるか②航空事業のなかで、何を大切にしているか③ダイバーシティ(多様性)を取り入れることの重要性とANAの取り組み―の3点について話した。まず国内航空需要について「航空業界は先が細いのではというイメージがある。新幹線ネットワークも発展して、新幹線の方が便利なのではないかと言われている。しかし、国内航空需要も作っていかなければならない。事実として旅客数は2006年をピークに減少を辿っているが、その減った部分を海外からのお客さまに、国内でLCC(格安航空会社)を活用して利用者を増やせないか、いま各社が考えている」。一方、国際航空の需要は「アジア・太平洋地域を中心に、かなり需要が膨らんでいくことが予測されている」としている。今後について、「国内旅客が減っていくなかで、海外からのお客さまを取り込みながら、なだらかなラインではあるが旅客を増やせないか。国際旅客もLCCなどのブランドを使って、業界全体を大きくすることができないかというのが、今われわれが持っている戦略だ。グローバルマーケットで見たとき、そこにはチャンスがあるし、ANAだけではなく、日本の航空業界が翼を伸していこうとするなかでは、みなさんのような若い力が必要になってくる」という。
 

ANAグループがめざすものは、世界をつなぐ心の翼で未来に貢献する「経営理念」、確かな仕組みで安全を高める「安全理念」の両輪で回っており、理念に基づく「安全」「お客様視点」「社会への責任」「チームスピリット」「努力と挑戦」の行動指針が掲げられたブックを、ANAグループ3万6000人全員が持っているという。最も守るべき「安全」では、パイロット、客室乗務員(CA)は乗務する資格をキープするため、年に一度の緊急想定訓練を行い、飛行機で仕事をしていない人も含めた全グループ社員が対象の緊急脱出訓練やヒューマンエラーへの教育を実践していると説明した。
 

ダイバーシティの必要性について河本氏は、「個性を大事にして一つの方向に向かって強い会社を作ろう。それが会社が生き残るということで、その原動力は『人財』であったり、『女性』の活躍だ」として、経営戦略としての女性の活躍推進をあげた。いまANAの女性役員は4人。グループ会社には5人の女性社長が生まれ、経営の場に出て行っている。また、日本初の3万時間のフライトを達成したCAが現在も乗務していることが紹介された。さらに、社員アスリートが働きながらひとつのゴールを目指しており、これが私たちにとっても大きな刺激になっているという。最後に、「多様な人財がそれぞれの個性を生かして、未来を作っていく。そんな会社、そんな業界をめざしている」と講演を結んだ。
 

 このあと、ANAJAL各グループのOBOGによるパネルディスカッションが行われ、現場で活躍する8人の卒業生が「学生時代、航空業界をめざすためにどのような取り組みを行ったか」などの質問に答えていた。

OBOG8人が登壇したシンポジウム。学生時代に取り組んだことなどを紹介した

 第2部は会場を7号館に移し、OBOGや内定者と在学生の座談会が開かれた。「育児休暇」について聞かれた2児のママさんでANACA・辻野千鶴さんは「子どもが1歳半になるまで休職した。できるだけ長くCAの仕事が続けられる環境は整っている」と答えていた。

▲在学生の質問に答えるANAの辻野千鶴さん㊨とJALの水谷茜さん㊧

 また、ANAJALの制服着用コーナーでは長蛇の列ができ、憧れのCA制服姿をカメラに収めていた。

JAL㊤とANA㊦の制服を着用してカメラに収まる在学生

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