英劇団、シェイクスピアの英語劇「十二夜」上演 市民含め400人鑑賞 IRI公開講座

 イギリスの劇団「インターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン(ITCL)」による英語劇「十二夜」が518日夜、谷本記念講堂で上演された。国際文化研究所(IRI)主催の公開講座。シェイクスピア喜劇の中で最高傑作とも評される作品で、恋の三角関係が織りなす悲哀や滑稽を描いたストーリーが日本語字幕付きで演じられ、学生、留学生をはじめ教職員、一般市民ら約400人が鑑賞した。

▲男装したヴァイオラ(セザーリオ、右)はオーシーノ公爵(左)から伯爵令嬢オリヴィアへの思いを伝える役目を負わされる
 

 物語は、若き女性ヴァイオラが乗っていた船が難破し、架空の国イリリアの海岸に打ち上げられる場面から始まる。乗船していた双子の兄セバスチャンも行方不明となり、途方に暮れるヴァイオラだが、船長のはからいで男装してセザーリオと名乗り、オーシーノ公爵に仕える。

▲伯爵令嬢オリヴィア(右)は、ヴァイオラ(セザーリオ、左)が女性とは気づかず、心を奪われる
 

 公爵オーシーノは伯爵家の令嬢オリヴィアに思いを寄せるが、兄を亡くし悲しみに沈むオリヴィアは求愛を拒み続けていた。セザーリオを気に入った公爵は令嬢の気持ちを自分に向けさせようとセザーリオを彼女のもとに遣わす。密かに公爵に恋愛感情を抱いたセザーリオにとっては辛い役目だが、心を打つ詩をもって公爵の思いを令嬢に伝えようと努める。令嬢はだが、男装したセザーリオが女性とは気づかず、たちまち心を奪われるのだった。

▲セバスチャン(右)をヴァイオラ(セザーリオ)と思い込むオリヴィア(左)
 

 一方、船の難破いらい行方不明となっていたヴァイオラ(セザーリオ)の双子の兄セバスチャンも船長のアントーニオに助けられ、イリリアに来る。街を見物中に偶然オリヴィアに出会い、たちまちその魅力に心を奪われ、結婚の約束までしてしまう。セバスチャンの登場で、うりふたつの兄と妹を取り違える人々の間にはしばしの混乱が生じる。

▲伯爵令嬢家に居候する叔父のサー・トウビー(左)、その友人のサー・アンドルー(中央)、道化フェステは乱痴気騒ぎを演じ、観客を笑いで包んだ
 

 伯爵家の令嬢オリヴィアの屋敷には、叔父のサー・トウビー、その友人のサー・アンドルーが居候し、道化フェステとともに日々、飲めや歌えやの乱痴気騒ぎ。3人は、侍女マライアも交え、まさに道化役を演じ、その滑稽さにしばしば客席から笑いが起きた。また、無軌道ぶりを生真面目な執事マルヴォーリオにとがめ立てされた3人は侍女マライアと復しゅうを計画し、オリヴィアがマルヴォーリオに思いをつづったとする偽の手紙を作り、マルヴォーリオをその気にさせてしまう。サー・アンドルーもオリヴィアに恋心を抱き、ライバル心からセザーリオに決闘を申し込む。
 

複雑に絡み合うロマンスの行方、双子の兄妹の劇的な再会、決闘の結末など、起伏に富んだストーリーが喜劇をベースに巧みに仕立てられ、卓越した俳優の演技力と相まって観客を魅了した。

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