「無意識の偏見を意識することが重要」  人権問題学習会でドーン財団の関さんが講演

 人権教育思想研究委員会主催の人権問題学習会が1130日、「一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団(ドーン財団)」事務局スタッフの関めぐみさんを講師に迎え、「男女共同参画社会の実現目ざして~今、何が求められているのか」のテーマで講演いただきました。

 

 

▲「無意識の偏見・差別のために傷ついている人がいます」と講演で話す関めぐみさん

 

関さんは現在、財団スタッフの傍ら大学のスポーツクラブでの女子マネジャーの役割について、試合や合宿に同行して研究しています。

 

「女性に対する暴力問題」を専門とする関さんはまず、「女性への暴力が増えています」と現状を話し、なぜいま女性への暴力をなくす運動を実施しているかについて、「暴力は対象の性別、加害者、被害者の間柄を問わず許されるものではないが、わが国の社会構造の実態を直視すると、特に女性に対する暴力は早急に対応しなければならない」と、運動の必要性を話しました。さらに、「夫やパートナーからの暴力のほか、性犯罪、セクシャル・ハラスメント、ストーカー行為、痴漢などは女性の人権を著しく侵害するもので、『男女共同参画社会』を形成する上で克服しなければならない重要な課題であると説明しました。また、若年者間の交際相手からの暴力「デートDV」について、いまは10人に1人が被害を受けているといいます。また、女性に対する暴力を世界的に見ているWHO(世界保健機構)の調べでは3人に1人が被害を受けている身近な問題であり、そのことが「男女共同参画社会」を阻んでいると話しました。

 

関さんは講演の途中、アイスブレイクとして「女の子らしく走ってみて、女の子らしく投げてみて、と言われたらどうしますか」との問いに答える時間を設けました。回答後に設問に対する動画を映し、「女の子らしく」という言葉が侮辱的な意味合いで使われると、思春期の女の子たちはショックを受ける―との解説が流されました。このなかで、「女の子はスポーツが苦手」と無意識に感じていることが「無意識の偏見(Unconscious Bias)」のひとつになるといいます。このイメージを男女共同参画社会の問題に置き換えると「子育て中の女性社員は泊りがけの出張ができない」「男性は、子どもが生まれても変わらず仕事に全力投球できる」などの例をあげ、採用や昇進人事の際に「無意識の偏見」がどのように評価、判断に現われるかを知ることが必要だとしています。「女性が働きやすい企業は、男性も働きやすい」と強調しました。

 

また関さんは、世界から見た日本の女性の地位について144カ国のなかで、「政治への参加123位」「経済活動への参加と機会114位」「教育の到達度74位」とし、総合順位は114位。ひときわ政治分野では、国会議員と女性閣僚の割合などで遅れているとしています。また講演では、性的少数者LGBTについても触れ、「多様な人が暮らしやすい社会にして、男女共同参画社会の実現をめざしましょう」と結びました。

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