災害発生時にどう動くか 短大部の「防災を学び、考える」授業で経験者が語る

 「災害が起こった場合、どのような行動をとればよいか」―。短大部1年生が「KGCベーシックスA」の授業で、防災について学びました。5月30日の全体授業では、阪神淡路大震災を経験した高校長の貴重な体験談を聞きました。

 

 

▲震度5の地震発生の想定で教室から避難する学生

 

防災授業は5月の3日間にわたって行われました。2日、9日の授業では、授業中に震度5の本震が発生、続いて震度3の余震が起こったとの想定で、学生たちは教室から一斉に避難。避難場所で学生の点呼を取るまでの訓練が行われました。
 

 

▲阪神淡路大震災の経験を話す若浦直樹校長           ▲避難訓練を講評する田中敏也部長

 

30日の全体授業では訓練を振り返り、第一防災()の田中敏也営業部長が「大学でこのような(防災を考える)授業があることに感銘を受けました」とする一方で「教室からの避難行動では緊迫感が感じられなかった。自分のことは自分で守り、さらには他者をも守る気持ちをもってほしい」との苦言もありました。

 

▲貴重な若浦校長の経験談を真剣に聞く短大部1年生

 

続いて、阪神淡路大震災を経験した兵庫県立村岡高校の若浦直樹校長が「災害が起こったときに感じたこと(自分自身の経験より)」のテーマで講演しました。震災発生時は他校勤務で、修学旅行中。震災後は学校にも電話はつながらなかったといいます。翌日、JRが不通だったため、バスで18時間かけて帰校。六甲山を越えたところで、火災の煙を目の当たりにし、現実を見せつけられたそうです。両親や家族を亡くした生徒は、親戚が学校まで迎えに来ており、帰校後も家族と連絡がとれない生徒もいたということです。その後、体育館が住民の避難場所となり、卒業式は中庭にイスを並べて実施。避難住民からも卒業生に花一輪が贈られたそうです。

 

震災時に全国からボランティアの応援を得たことをきっかけに、防災に関する専門知識や実践的な対応力を備えた兵庫県内の教員で構成する「EARTHチーム」を2000年4月に発足。熊本県など全国の災害地で活躍しているといいます。若浦校長はボランティアについて「災害地を訪れてみないと分からないことが多いが、2次災害の恐れもあるので、現地がある程度落ち着いてから行ったほうがよい。災害地では何年経ってもボランティアですることはたくさんある」と話しました。最後に「災害は時間を経て忘れられることが最も怖い」と結びました。

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