英ITCLがシェイクスピアの英語劇「真夏の夜の夢」公演 IRI公開講座

 英国の劇団インターナショナル・シアター・カンパニー・ロンドン(ITCL)の英語劇「真夏の夜の夢」(ウィリアム・シェイクスピア原作)が5月17日夜、中宮キャンパスの谷本記念講堂で上演されました。本学・国際文化研究所(IRI)の公開講座を兼ね、学生や教職員に市民らも加え約400人が本場の英語劇を日本語字幕付きで鑑賞しました。

 1980年に結成されたITCLは毎年、ヨーロッパ諸国を中心に世界ツアーを行っており、日本公演は今年で46回目。今回は5月14日~6月1日の間、全国13カ所を回る予定。芸術監督のポール・ステッピングス氏は2013年、長年にわたる海外での英国文学作品普及の功績により英王室から勲章を授与されています。
 物語は、6月の暑い夜、妖精たちが森に集まって祭りを行うとの神話に基づく。アテネの貴族ライサンダーとハーミアは愛し合っているが、ハーミアの父親から結婚を反対される。アテネの法律は親の同意のない結婚に厳罰を科しているため、法律が及ばない近郊の森に駆け落ちする場面から始まる。


▲妖しげな雰囲気をかもして踊る森の妖精たち

 月夜の森は、妖精の王オーベロンと妖精の女王ティターニアが治める魔法の国だが、二人はけんかの最中。ライサンダーの恋敵ディミートリアスと、彼への思いを告白しながら拒まれ続けるヘレナも妖精の森にやってくる。


▲結婚に反対され森に駆け落ちすハーミア(左)とライサンダー

 妖精の王オーベロンと妖精は、眠っている恋人たち男女4人と女王ティターニアのまぶたに魔法の花の汁を塗る。汁を塗られた者は目覚めた瞬間、最初に見た相手に恋するという妙薬。


▲眠っている妖精の女王ティターニアのまぶたに妙薬を塗る妖精の王オーベロン

 アテネの支配者シーシアスはアマゾン族の女王ヒポリタとの婚礼を間近に控えており、式典の日に素人芝居を演じる予定の職人たちもけいこのために森に来ている。その1人、機織りボトムは王の計略で頭をロバに変えられてしまうが、目覚めた女王が見たのは頭がロバのボトムで、たちまちこの怪物のとりこになってしまう。


▲妙薬のせいで頭がロバのボトムに恋するティターニア

 慌て者の妖精パックは、若い男女4人の組み合わせを間違える形で、男2人のまぶたに魔法の汁を塗ってしまい、見当違いの相手に愛を告白するというドタバタ劇が展開される。4人は森をさまよい、疲れ果てて眠りに落ちる。


▲滑稽な素人芝居のけいこに励むアテネの職人たち

 夜が明け、森に朝が巡ってくる。男女4人、女王ティターニアが目を覚ますと、ようやく正気に戻る。眠っている間に、王が妙薬の効果を取り除く花の汁をそれぞれのまぶたに塗らせたのだった。だれもが悪夢におののき、現状を受け入れようとする。


▲正気にもどり、愛を誓い合うヘレナ(左)とディミートリアス、ハーミアとライサンダーの2組のカップル

 最終盤では、支配者シーシアスとヒポリタの婚礼の当日、アテネの職人たちが森で練習した素人芝居を披露し、言葉遊びを交えた喜劇的な要素が随所に取り入れられ、会場は爆笑に包まれた。
 
一覧を見る