イベロ研 公開講座 「JICAボランティア活動から見る中米ホンジュラス」

 イベロアメリカ研究センター主催の公開講座が6月14日、中宮キャンパスのICCホールで開講されました。「JICAボランティア活動から見る中米ホンジュラス―この国が持つ本当の魅力とは⁉」をテーマに北海道広尾町立広尾中学校教諭の土井誠人さんの講義に、本学の学生はじめ100人超が聴講しました。

▲講演する土井誠人さん

 本学スペイン語学科を卒業した土井さんは2009年から北海道の中学校教員として勤務。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員に応募して、2017年7月にホンジュラス共和国に小学校教育隊員として派遣され、今年3月に帰国しました。現在は北海道広尾町立広尾中学校で教鞭をとっています。


▲土井さんの講演に耳を傾けた

  「僕自身、JICAのボランティアといえば農業や土木などのイメージが強かったのですが、実に約120種類のボランティア事業があります」と土井さん。自身が派遣されたホンジュラスという国について、「メキシコの南の南」に位置することや、「果物がおいしい」「4月から8月が暑さのピークで、気温は40度近い」「特産品はコーヒー」などの特色をわかりやすく説明。治安については、外務省HPで危険レベル1~2で十分な注意が必要である国であると伝えました。
   任地は、首都テグシガルパから南へバスで3時間ほどのチョルテカ。土井さんは小学校の算数の教師として任務に就きました。現地での授業の様子や、生徒らとともに遊ぶ姿などを映像で紹介しながら、ホンジュラスと日本の違いなどを説明。「日本とは施設環境がまったく違います。ホンジュラスには教室ピアノもなく、体育館もなく、印刷機もない」と現地の教育環境を話しました。土井さんは、現地の状況を把握し関係を構築するために、いろいろな取り組みをしました。
  「屋外でテストをしたり、日本のラジオ体操を教えたり。Wi-Fiの環境があるので日本の中学生との交流の機会も持ちました。」と土井さん。現地の先生らの研修会も行いました。「ホンジュラスの教育を向上させるのはホンジュラスの先生なのです。僕らボランティアはファシリティエータ―として黒子に徹してました」。優秀な先生の授業を見ることで、先生の技術を向上させるというプロジェクトには手ごたえを感じたと続けました。


▲ホンジュラスと日本の違いについて力説する土井さん

  さらに土井さんは、「県や市が教育目標をかかげ、できる支援とできない支援を明確化し、大人が子どもの活動のお手本とならないといけない」と今後の展望を語りました。そして、「ホンジュラスでは勉強はぜいたくなことで当たり前じゃない。楽しいことなのです」といい、日本に目を向けて「今までにあるものを『当然』と思わないこと。そして、今の実情と照らし合わせ、『前例』がないときにどうするかを考えるべきだと思います」と力を込めました。
 最後に、チョルテカの子供が日本の歌を歌う様子を映像で紹介し、参加者から拍手が送られました。
 土井さんは、2年間の活動を通じて、「外に出て日本のよさを改めて知ることができました。若い人たちはぜひ海外に出てほしい」と訴えました。そして、スペイン語学科の卒業生として感じたことは「言語は手段だということです。スペイン語ができる人は重宝されます。そして、使ってなんぼです。僕は今回の派遣で10数年ぶりにスペイン語を使いましたが、この大学で教わったことがとても役に立ちました。語学は、幅広いネタを伝えるために役立つツールなんです」と話しました。


▲質疑応答の時間で、土井さんに質問する学生

 講座終了後には質疑応答の時間が設けられました。JICAに応募したきっかけについて問われた土井さんは、「知り合いから勧められたという単純な理由です。結果が伴えば、きっかけは何でもいいと思います」と笑顔で答えました。その後も、本学学生らに囲まれ、活発な意見交換が行われました。

 
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