第9回FD講演会 東北大学の松河秀哉さんが「授業評価アンケート」の分析と活用について講演

 東北大学高度教養教育・学生支援機構講師の松河秀哉さんが9月9日、中宮キャンパス多目的ルームで、「授業評価アンケートの分析と授業改善への応用可能性」と題してFD講演会を行いました。松河さんは、授業評価アンケートについて「現状は十分に活用されているとはいえないが、さまざまな分析を通して幅広く深い情報を得られる」と話しました。


▲「授業評価アンケート」の分析と活用について講演する松河秀哉さん

 松河さんは、授業評価アンケートの実態について、単純集計では現状把握はできるものの、次のステップに進めないと指摘。「原因と結果を掛け合わせた分析が必要」と話します。

 単純集計を超えたアンケートの数値データの分析について、各項目との関係を、「授業への満足度」と「先生の話し方」に関するアンケートに着目した例で説明。「はい」と「いいえ」の2段階回答で対象が少数の場合の「頻度による比較」▽回答が2段階以上、数千件以上の対象の場合の「平均値の比較」▽各項目の関連性「相関係数」を用いた分析においても、話し方が分かりやすいと満足度につながる可能性が高いことが分かりました。また、分析の応用で、さらに活用が広がると話しました。

 満足度を高めるための具体策を得るには、「決定木」による分析が有効と話します。「ある分析例では、満足度を高めるためには、まず話し方を分かりやすく、次に板書を分かりやすくすることが有効だった」といい、「FDで何をするかを考える手がかりになる」と続けました。

 続いて、数値ではなくテキストデータの分析について、授業評価アンケートの自由記述欄の概要を把握するために、「形態素解析」や「単語頻度の比較」のそれぞれの特徴を説明。さらに詳しく内容を知るためには、「トピックモデル」の活用が有効で、科目群ごとに特徴的なトピックの把握や経年変化の分析だけでなく、想定を超えた観点も発見できるなどの利点があり、紐付分析も可能と話しました。

 松河さんは、「このようにデータに関心を持ってさまざまな分析をすれば、原因や現状が分かり、改善策や対応策が見つかります。データに基づいたFDやIRの可能性は大きい」と締めくくりました。

 講演後には、「外国語の自由記述の分析も可能か」や「IRにどのように生かされるのか?」など、参加者らと活発に意見交換しました。


▲参加者と意見交換の様子
一覧を見る