イギリス研究会の公開講演会開く 岡田昭人・東京外大教授と作家の有栖川有栖氏が登壇

 アゴラ・ブリタニカ(イギリス研究会、会長=秦由美子・関西外国語大学教授)の公開講演会が10月5日、中宮キャンパスのマルチメディアホールで開かれました。第1部では岡田昭人・東京外国語大学教授が「オックスフォード式超一流の育て方」と題して講演。第2部では推理作家の有栖川有栖氏が「ミステリー(推理小説)とイギリス」のテーマで話しました。学生、教職員、市民ら約120人が聴講しました。


▲岡田昭人・東京外国語大学教授

 岡田昭人・東京外国語大教授は、留学した英オックスフォード大学の教育理念を踏まえ、グローバル化した世界を常識にとらわれずに生き抜く力などについて話しました。この中で、「感情」を縦軸、「時間」を横軸にとった異文化適応のモデルを紹介し、「外国に長くいればいるほど、自国に戻ったときにショックを受ける傾向がある」と指摘しました。


▲講演に耳を傾ける参加者

 異文化コミュニケーションを妨げるものとして、特定の国とその国民のイメージを固定観念でとらえるなどのステレオタイプの存在を挙げ、ステレオタイプは、ものを記憶するのにカテゴリーで覚えようとするためにつくられると述べました。そのうえで、コミュニケーションには、会話に加え、表情、ジェスチャーも大切だとし、異文化コミュニケーションは、共通点を発見したり、相互理解に努めたりすることで学習できると結びました。


▲有栖川有栖氏

 有栖川有栖氏は、小学生の頃、英国の小説家アーサー・コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズに出会い、推理小説に引かれていった体験や、作家デビュー後に初めての海外旅行でイギリスを訪れ、作家が集まるイベントに参加したことなどを交え、推理小説の歴史を概観しながら、自らの経験や思いについて語りました。

 「推理小説のヒーローは、ほかの(分野の)ヒーローとは違う」として、推理小説の醍醐味は、謎解きをすべて言葉で語っていくところにあると指摘しました。ミステリーが書かれるようになった背景とし、イギリスの産業革命によって、豊かになり、余裕がある層が出てきたことや、1829年にスコットランドヤード(ロンドン警視庁)が発足したことと関係があるとの見方を示しました。ミステリーと近代スポーツがともにイギリスで始まり、どちらもゲームで、ルールがあることなど共通点があるとしたほか、イギリスの関係者との交友関係にも触れ、日英のミステリー交流を深めたいとの思いを吐露しました。


▲谷本榮子理事長、谷本和子短大部副学長と懇談する有栖川有栖氏

 講演会に先立ち、有栖川有栖氏は、谷本榮子理事長を表敬訪問し、谷本和子短大部副学長を交えて懇談しました。
 
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