IRI連続公開講座「ブッダはどんな言葉で語りかけたのか?」 野村教授が講義

 国際文化研究所(IRI)の連続公開講座「ブッダはどんな言葉で語りかけたのか?」の第1回が11月8日、中宮キャンパスのICCホールで開かれました。連続講座はIRI所長の野村亨・外国語学部教授が全3回の講師を担当。第1回は古典語を学ぶ意義とインド・ヨーロッパ語族について、第2回(11月15日)はインドの古典語サンスクリット語について、第3回(11月22日)はブッダが話したとされる仏典用語パーリ語について、学びます。


▲古代インド文化などについて話す野村亨教授

 野村教授は、教育の歴史を振り返り、古代ローマではギリシア語の古典が学ばれ、インドでは子どもたちがバラモン教の聖典を暗唱し、中国、日本など東アジアの漢字文化圏では四書五経など儒教の基本文献が教材となったことを例に挙げ、「洋の東西を問わず、高等教育といえば古典を学ぶことを意味していた」と指摘しました。


▲お遍路さんの頭陀(ずだ)袋の「頭陀」はサンスクリット語の「ドゥーダ(使い)」から

 続いて、スリランカからインドシナに伝播した上座部仏教、インドから中国、朝鮮、日本に伝わった大乗仏教、7世紀にベンガルで起こり、インドネシアやチベットに伝播した密教の「仏教の三大潮流」と、7世紀以降の日本と仏教の関わりの歴史が説明されました。

 また、現代日本に残るインド文化の影響が紹介されました。「がき(餓鬼)」は、日本では「いたずらっ子」の意味だが、本来は「地獄に落ちた人々の霊」の意であり、「広く行われている施餓鬼会(せがきえ)は、飢えた人を救ってあげるという意味がある」と解説しました。また、日本語の「奈落」はサンスクリット語の「ナーラカ(地獄)」が、お遍路さんの「頭陀(ずだ)袋」の「頭陀」は「ドゥーダ(使い)」、「旦那」は「ダナー(お布施をくれる人)」が起源であると説明しました。

 インド・ヨーロッパ語族は、サンスクリット語、ペルシャ語、ギリシア語、ラテン語、英語、ロシア語、バルト諸語など。祖地は黒海北岸またはアナトリア(トルコ)とされ、6000年前または8000年前に拡散。100以上の国家で公用語となり、母語話者人口は25億人を超え、国連の6つの公用語のうち、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語の4つが同語族ということです。
 
一覧を見る