【新入生の皆さま・ご家族の皆さまへ】関西外国語大学 学長からのメッセージ(告辞)
新入生のみなさんへ
ご入学おめでとうございます。
大学進学に向け、これまで一所懸命に取り組んでこられたみなさんに関西外国語大学教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。また、今日まで長きにわたってみなさんの勉学と生活を支え、励ましてこられたご家族をはじめ関係者の皆様にも心からお慶び申し上げます。
さて本学は、今年「創立75周年」を迎えます。その歴史を少し紐解いてみます。1945年、太平洋戦争終結から3カ月が過ぎた戦後の荒廃と混乱のさなか、創立者である谷本昇・多加子両先生は、「この国の復興と国際社会への復帰」という切実な願いと夢を外国語教育に託し、「谷本英学院」をスタートさせました。
1953年には「関西外国語短期大学」を開設、高等教育機関としての一歩を踏み出し、これを礎として1966年に「関西外国語大学」を開設し、外国語学部を設置しました。その後、大学院に修士課程を開設し、1979年には国公私立の外国語大学で初めてとなる博士課程を設置しました。
1996年には、国際言語学部、今の英語国際学部を設置したほか、2011年には、新学部として英語キャリア学部を開設。現在は、大学3学部に大学院、短期大学部を擁する、およそ1万3,000人の学生が集う、全国でも屈指の外国語大学へと成長いたしました。
その原動力となったのは、語学教育という「実学」の重視と、留学ネットワークの構築・拡充に主眼を置いた「国際交流」の積極的な推進です。本学の建学理念である「国際社会に貢献する豊かな教養を備えた人材の育成」と「公正な世界観に基づき、時代と社会の要請に応えていく実学」を軸に、時代のニーズを捉えながら、グローバル化する社会で必要とされる資質を身に付けた「人材育成」を心がけてきました。今では世界55カ国・地域の393大学と単位互換協定を結び、毎年1,900人近い学生を海外の大学に派遣、年間750人余りの留学生も受け入れており、多様性が溢れたキャンパスとなっております。
留学プログラムも時代のニーズに応えて進化させており、海外の大学の学位を取る「ダブル・ディグリー留学」をはじめ、現地の学生と専門分野を英語で学ぶ「リベラルアーツ留学」など、みなさんのニーズに合わせて、多様な留学プログラムを用意しています。
また、一昨年開学した「御殿山キャンパス・グローバルタウン」には「国内に居ながら留学と同じ体験が出来る」ことを目的に、約650人の本学学生と留学生が生活できる多文化共生空間、「GLOBAL COMMONS 結 -YUI-」を設立しました。本学の学生と海外からの留学生が、学・食・住を共にする共同生活を通して、異文化理解を深め、問題解決力、自己管理力、チームワークなど、社会人としての基礎力を養うと同時に、授業では学ぶことのできないグローバル人材育成の実践の場として、大きな効果が生まれています。
このような歴史と建学の理念をもつ本学がマスコミ等でどのように評価されているか紹介したいと思います。昨年4月に朝日新聞出版より刊行された「大学ランキング2020年版」によりますと、日本の大学777校のうち、本学は留学生派遣人数、キャビンアテンダント採用者数、2、3年次編入学者数、英語キャリア学部の就職率の4項目で全国1位となりました。また、国際ボランティアの参加学生数は2位、外国人教員総数は7位。このほか、教員の採用数では、中学校教員と高校教員がそれぞれ30位と53位でした。
弘法大師の漢詩文集である「性霊集」の中に「心境冥会にして道徳玄に存す」というのがあります。これは「心と環境はお互いに影響し合っていて、例えば、心は環境に染まる」ということを意味します。本学は先ほど述べましたように、留学生派遣人数やキャビンアテンダント採用者数等で高い評価を受けており、留学したい人、キャビンアテンダントになりたい人、国際的に活躍したいと思っている人、英語教員になりたい人などにとって、とても素晴らしい環境となっています。弘法大師の言葉にありますように、皆さんが本学のこのような環境の中にいることにより、皆さんの心はその影響を受け、将来の目標とそれを達成する道を自然と見出すことができると確信いたします。
新入生のみなさんは、これから大学生活を送ることになりますが、将来の目標を達成するための方法を2つ示したいと思います。一つは「物事一切偶然はなく、全て必然である」ということです。つまり、物事は原因があって結果がついてきます。このことを因果応報や因果律と呼びます。皆さんのこれからの人生にとって、大学時代をどのように過ごすかが大変重要になります。そのために、いい結果が得られるように、できるだけ多くの原因を積んでいただきたいと思います。例えば、みなさんの中には留学したい人、教員になりたい人、グローバルに活躍したいと思っている人などがいると思います。それを達成するには、できるだけ多くの原因、つまり努力を積み重ねてほしいと願っています。
素晴らしい原因を積むことは、何も勉強だけではありません。例えば、「和(わ)顔(げん)愛(あい)語(ご)」という言葉があります。「人にあったら優しい顔をし、優しい言葉で接しなさい」ということです。このような原因を積んでいれば、いつの間にか自分の周りに優しい人が集まり、毎日を楽しく過ごすことができると思います。
2つ目はこれとは真逆のことです。スポーツ選手がいい結果を出したい時に、よく表彰台に立っていることを想像する、といいます。実は、これが目標達成の秘訣でもあります。したがって、目標があれば、「必ず達成するぞ」「頑張るぞ」ということではなく、「もう達成した」と過去形で考えてください。例えば、弓を引く時、的に当てようと一所懸命になってもなかなか当たりません。それより、矢がすでに的に当たってから、弓を引けば必ず当たるものです。これを「果上の法門」と言います。必ず「目標を達成した」と常に思い、日常生活を過ごしてください。
本学には、みなさんの将来の目標を達成するために、多くの優れた先生方と、さまざまな学修環境が整っています。ぜひ、本学の学修環境や、広範なネットワークに裏打ちされた留学制度などを活用し、多様な価値観や異文化に触れてください、本学のスローガン「GO FOR it! 語学の、その先へ。」にもありますように、語学のその先を見据えて、さまざまなことにチャレンジしていただきたいと思います。
今みなさんが胸に抱いている熱い想いを忘れず、関西外国語大学という新しい環境で、国籍を超え、多様な文化の違いを理解し、多くの友人と語らい、時には切磋琢磨して、次世代を担う人材として、世界に羽ばたいて下さい。これからのみなさんのキャンパスライフが、実り多いものとなりますよう、私をはじめすべての教職員が、全力でみなさんをサポートすることをお約束し、私からのメッセージといたします。
2020年4月1日
関西外国語大学
学 長 大 庭 幸 男
学 長 大 庭 幸 男
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