【新入生の皆さま・ご家族の皆さまへ】関西外国語大学短期大学部 学長からのメッセージ(告辞)

新入生のみなさんへ

 ご入学おめでとうございます。

 みなさんは夢と希望に胸を弾ませ本学に入学されました。みなさんを私たち関西外大の一員としてお迎えすることができ、大変うれしく思っています。ご家族、保護者のみなさま、おめでとうございます。心からお慶び申し上げます。いよいよ大学生活が始まりますが、「初心忘るべからず」と申します。いまの新鮮で熱い思いを、みなさんが忘れることなく大事にしてくださるよう願っています。

 本学は、短期大学部を高等教育のファーストステージと位置づけております。英語をはじめとして学力を鍛え、教養を身に付け、人間力を磨き、それぞれの夢に向かって次なるステージ、セカンドステージへとジャンプする――。短期大学部は、みなさんの可能性を大きく広げる、あしたへの跳躍台、未来へのスプリングボードであるのです。これまでの「教えてもらう」という受け身の学びから、「自分からやってみる」という、積極的な攻めの学びへと、みなさんはその姿勢を変えていかねばなりません。すなわち、教えられたことを覚えるだけではなく、自ら学び、自ら考え、自ら行動すること、つまり、「自学」「自習」の実践が強く求められます。また、専門知識を習得することはもちろんのことですが、将来の職業や技能につなげていくことも必要なのです。しかし、それ以上に18歳から20歳という年齢の中で「自分は何をしたいのか、何が出来て、何が出来ないのか、これからの人生をどう歩むのか」を考える時間でもあります。教員や仲間との出会いを通じて、自分に向き合い考える「空間」、それが短大部の2年間なのです。世界中から留学生が集う本学の国際色豊かなキャンパスで、たくさん友達をつくり、仲間と学生生活や将来の夢について語り合い、人間力を育んで欲しいと思います。

 本学は今年で創学75周年を迎えます。本学の母体となった「谷本英学院」が誕生したのは、終戦からわずか3か月後の昭和20年の秋でした。その後、外国語学校を経て、昭和28年に私たちの短期大学部の前身である関西外国語短期大学が、大阪・万代の地に開学します。当初の入学定員は80人。学生と教員の距離が近いアットホームで温かい雰囲気が持ち味でした。昭和41年には、ここ枚方に関西外国語大学を開学、外国語学部を設置し、その7年後には大学院を、昭和54年には、わが国の外国語大学としては初の博士後期課程、いわゆるドクターコースも開設します。平成8年には、国際言語学部、現在の英語国際学部を、そして平成23年には、英語キャリア学部を開設しています。本学は短期大学部のほか、大学3学部、大学院、それに留学生別科と孔子学院を擁する、スケールの大きな“学びの場”へと成長してきたのです。

 国際交流につきましても、大学開学当時から力を入れ、現在の海外協定大学は55か国・地域の393大学、そして海外に送り出す学生数は、短期大学部独自の留学制度を含めまして、昨年度で約1,700人と全国屈指の規模を誇っています。創立以来の歩みを振り返りますと、私たちの短期大学部は、本学の成長、発展の根幹に常にあり、確かな存在感を発揮してまいりました。

 みなさんの短期大学部は、スケールでも教育の中身でも全国でトップクラスにあり、アットホームで温かい持ち味は、いまも力強く息づいています。みなさんが本学の短期大学部で学ぶことに、大きな誇りと自信を持っていただきたいと望む所以です。

 次に、学びの中身を具体的に説明いたします。まず英語ですが、1年生の必修英語科目は週に7回の授業があり、みなさんを“英語漬け”にいたします。社会科学や時事問題を英語で学ぶことで、英語による表現力、思考力などを徹底的に鍛えます。また、社会人基礎力、つまり人間力の向上を図るための「K.G.C.ベーシックス」の授業は、1、2年次とも必修科目としています。一般常識やキャリア形成を主眼としたもので、最近は課題解決型授業(PBL)も重視しています。豊かな発想力や分析力、コミュニケーション能力などを鍛え、就職や四年制大学への編入学など、将来の進路を見据えた力を培っていただきたいと思っています。また、異文化を体験することで、グローバル社会を生き抜く幅広い視野を養ってもらおうと、短期大学部独自の希望者全員を対象にした留学プログラムも用意しています。

 今年から北京語言大学で中国語と英語を学ぶ留学プログラムが新たに加わりました。しかし、現在、新型コロナウイルスが猛威をふるっておりますので、渡航いただくのは難しい状況ですが、情勢が回復しましたら、世界中から中国語教育のパイオニアとして評価されている北京語言大学で本格的に中国語を学修し、異なる文化や価値への寛容性も身に付けていただきたいと思います。
私は、教育とは「共に育つ」こと、すなわち“共育”であると捉えています。「K.G.C.ベーシックス」、書評コンクール、課題解決型授業でのプレゼンテーションなどに、私も参画して、みなさんと一緒に学び、共に成長することを大変楽しみにしております。

 本学の先生方は、私自身が直接面接し教壇に立っていただくようお願いした、人格、識見ともに優れた方達ばかりです。みなさんは、その教えや指導に応えつつ、進化する道筋を自ら考え実践することで、一歩でも二歩でも夢や目標に近づいていただきたいと思います。

 昨年、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催され、日本代表の活躍に国内が大きな盛り上がりを見せました。日本代表チームは31人のメンバーのうち、15人が海外出身選手。キャッチフレーズの「ONE TEAM」は、言葉や文化、歴史の違いを乗り越え、桜のエンブレムのもとに結集した代表選手を文字どおり「ひとつ」にし、史上初のベスト8進出という快挙を達成する原動力となりました。大阪出身の元ラグビー日本代表 廣瀬俊朗さんは、著書で「勝つチームには、『大義』、『覚悟』、『ビジョン』、『ハードワーク』がある」と書かれています。冒頭に申し上げました「自分は何をしたいのか。これからの人生をどう歩むのか」を考え、「ビジョン」と「覚悟」をもって、本学で学んで欲しいのです。

 みなさんのキャンパスライフが、本学の歴史に、どんな1ページを書き加えてくれるのか、とても楽しみにしています。私ども教職員一同、みなさんを全力でサポートすることをお約束して、私からのメッセージといたします。

2020年4月1日
関西外国語大学 短期大学部
学 長 谷 本 榮 子
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