関西外大に入学当初、英語は全然しゃべれなかったという安部さん。
もともと理系で、大学入試が本格的に始まる直前まで、国立大学をめざしていました。
でも、本当に自分がやりたい仕事はCA(キャビンアテンダント)だ!と思い、急きょ進路変更をして、多くの人材を航空業界に輩出していた関西外大に進学。
そんな安部さんが英語力を飛躍的に伸ばしていった過程と、あこがれだった航空業界への道を開き、カタール航空に就職するまでについて紹介します。
安部さんの英語勉強法のポイントは以下の通りです。
- 関西外大での日々の授業
- 日常生活をすべて英語に変換し、言葉に発する
- YouTubeのTOEICリスニング対策の視聴
- 放課後の図書館で課題に取り組む
- オンライン留学で語学力と対応力を磨く
- 留学先で日本人じゃないことを装う
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*インタビュー内容は取材時のものになります。
学生プロフィール
学生プロフィール
- 安部 百香さん(外国語学部 英米語学科4年)
- 高松市立高松第一高等学校(香川県)出身
- 就職内定先:カタール航空
香川県出身で、うどんが大好き!
ちなみに、お母さんは桃が大好きで、お名前の「百香」の由来もそこから来てるそうです。
理系だったがCAをめざして関西外大へ
高校時代は理系で、国公立大学への進学を考えていたが、受験直前の9月になって、急きょ進路変更をする。
理科の実験などは普通に楽しかったが、行きたい学部が一つもないことに気づき、「自分は何がやりたいんだろう」と考えたときに浮かび上がってきたのが、CA(キャビンアテンダント)の仕事だった。
子どものときに一人で親戚のいる北海道まで行ったことがあるんですけど、CAさんにすごく優しくしていただいて。制服姿もカッコいい感じで、そのときにぼんやりとCAさんへの憧れを抱きました。
進路選択の際に、本当に自分がやりたいことを改めて考えたときに、その気持ちが蘇ってきた感じで。
そこで航空業界への就職が強い大学を調べ、例年多くのCAを輩出していた関西外大が目に留まった。
そして、元CAの先生のホスピタリティの授業などにも惹かれ、本学に進学をする。
関西外大に入学した時、英語はぜんぜん話せなかった
受験勉強で英語の学習に取り組んでいたが、関西外大に入学するまで英語で話をしたことはなかった。
TOIECの点数はそこそこあったので、1年次からSuper IESのクラスに入れたんですけど、最初の頃は全然周りのレベルについていけてなくて…。
最初の3か月くらいはほとんどしゃべることができず、ネイティブの先生の話す英語も速すぎて聞き取れなかった。
友だちも英語字幕で映画を観てたり、私なんて吹き替えで『ハリーポッター』とか観てたし、洋楽も聴いたことなかったし、関西外大に入って、最初にちょっとしたカルチャーショックを受けました(笑)。
とにかく入学したばかりの頃は大変だったが、授業自体は楽しかった。
周りの友だちもみんな優しく、わからないところをサポートしてくれたし、自分の英語の出来なさに衝撃を受けた安部さんは、授業以外でも積極的に英語の勉強に取り組んだ。
日常生活をすべて英語に変換し、言葉に発する
安部さんが英語勉強法のひとつが、一人でいるときもずっと頭で思い浮かべたことを声に出して、英語でしゃべること。
例えば、キッチンでトマトを切っているときには「I’m cutting tomato」と口に出して言う。
「電子レンジは何て言うんだろう」と思ったら「microwave」と調べて、「I’m useing microwave」と発声したり。それを繰り返すことで、ボキャブラリーを増やしていきました。
また、「テレビをつける」は「turn on the tv」で、そこから「turn on the light」というふうに派生して自分で力を付けていきました。
―― 一つひとつの行動を英語で考え、それを口に出して発言するわけですね。
お風呂に入る時は、シャワー・カンバセーションというのがあって、例えば「歩きスマホをしていいと思うか、反対か」というディカッションの話題を一つ持って入り、思いつく意見をすべて言います。
そうすると、お風呂を出る頃には1分くらい良いスピーチが練り上がっているんですけど、この作業をすべて英語で考え、発言するようにしていました。
――リスニングに関してはどうですか?
1年の夏休みに、海外のドラマとか映画を日本語字幕で毎日10時間ぐらい見ました。そうすると、発音がそっちに寄っていって、リスニングはもちろん、発音がすごくよくなりました。
――徐々にレベルアップしていったら日本語字幕を止めて見るとか?
そうです、そうです。疲れちゃうんで今でもたまに英語字幕で見て、日本語字幕に戻ったりとか。視聴していたのは自分が好きな映像作品でしたし、楽しみながら学ぶことができました。
おすすめの英語勉強法だと思います。
日々の授業で英語力が向上。TOEICは約1年間で500点UP!
上で紹介したような日々の習慣とともに、もちろん大学での授業も英語力を伸ばす大きな要因となった。
とくに海外留学を目的としたSurper IES プログラムは、点数が取れないと留学に行けなくなるので、その課題をクリアしていくなかで自然と語学力も向上していった。
そして、2020年秋にジョージア・カレッジ・アンド・ステイト大学に1年間のリベラルアーツ留学を行う予定だったが、コロナ禍のため延期となる。
コロナ禍で留学が行けなくなったのは残念だったけど、時間を有効活用しようと思って、実家に帰った3か月の間に簿記3級を取りました。それと、TOEICで900点を取ろうと集中して勉強しました。
――結果はどうだったんですか?
875点で少し届かなかったんでけど、ハイスコアを出すことができました。
ちなみに入学前は375点で、1年次にそれが690点まで上がって、その後に受けた2年次の5月のTOEICの試験で875点を取りました。
――入学時から約1年間で500点スコアを伸ばされたわけですね。
そうですね。このときは「900点取る」って気合を入れたので集中して勉強して、それが得点アップにつながりました。もちろん、1年間関西外大で語学学習に取り組んできたスキルも、その素地となっていたと思います。
――TOEIC対策として行ったことがあれば教えてください。
YouTubeで「TOEICリスニング」で検索し、出てくる問題集を毎日1.25倍速で聞いました。さまざまな国の英語のリスニングがあって、私はブリティッシュが苦手なんですけど、習慣付けてたら、だんだん聞き取れるようになました。
あと、900点取る目標から逆算して何問落とせるかというのを計算したら、リスニングは5問ぐらいしか落とせないんですよ。100問中5問ってなったら、必然的に集中して聞くことができます(笑)。
――何問落とせるとか、けっこう戦略的に対策を練られたんですね。
分析は得意なんで、リケジョだったことが生きました(笑)。
これは受験にも応用できると思いますが、まずは傾向と対策を立てて、「ここは確実に正確できる」「ここは難しい」「合格ラインには何点必要で、それだったここで何点落とせる」といったことを洗い出すと、効率よく勉強できるのでオススメですよ。
友だちと放課後に図書館に通うのが日課に
授業が終わったあとの放課後の勉強も充実していた。
1年次のときは、友だちと放課後に図書館に行き、夜9時まで課題に取り組むのが日課となっていた。
遅い時間まで図書館で自習というと大変そうですが、仲間と一緒にやってて、めっちゃ楽しかったです。自分が成長しているのを実感でき、毎日が楽しく充実していました。
そうした日々の努力で英語力を伸ばしていくとともに、関西外大でのキャンパスライフを通じて、一人の人間として「自信を持てるようになったのが、何より良かったなと思います」と安部さん。
――具体的には?
「いいね、その服」とか「いいね、その考え方」とか、ネイティブの先生や友だちも「いいじゃん」と基本的になんでも肯定してくれるんです。
なんか、「いろんな生き方があるよ、それもいいよね」っていう考え方に日常的に触れる中で、人として成長させてもらったのは大きいかなと思います。
――なるほど。英語力はもちろん、4年間で人間的にも大きく成長できたと。
そうですね。実際に他の方と比べることはできないけど、「一番楽しんでるし、一番吸収して学んで、一番成長したのは私だ」って言い切れます。
4年生になった今も成長を感じますし、飽きないというか、そんな魅力の詰まった場所だと思います、関西外大は。
オンライン留学で語学力と対応力を磨く
3年次の春もまだコロナ禍が落ち着かず、アリゾナ州立大学のオンライン留学プログラムに参加する。
8月から約2カ月間開講され、グローバル企業の経営戦略などについて学ぶことともに、アメリカ人を中心としたプログラムに参加する社会人の方たちと設定された各課題に対して議論を深めた。
――グループワークということですが、どういった人たちといっしょのグループだったんですか?
私以外は全員、社会人(アメリカ人)の方でした。それでコロナ禍となって今仕事が止まっている人もいたりして、「彼のケースの場合、どういうアプローチで対処していくのがいいか」といった現実の問題に即して、みんなで意見を交わしました。
――安部さん一人だけが日本人で、学生だったわけですね。
そうなんですよ。だから、ちょっと場違いなような気もしたんですけど、アルバイトの経験などをお話させてもらいました。
ただ、同プログラムに参加したことで状況に即した対応力は付いたと思います。もちろん、語学力も向上しました!
――オンラインでの授業の時間以外に、課題などもあったのですか?
リーディングの課題がすごく多かったですね。その資料を読み込んだうえでエッセーを書き、そこで考えたことをグループワークの中で事例に即して発表するという流れでした。
発言をしないと点数をもらえないので、社会人経験はありませんでしたが、「学生の視点」ということで、私なりの意見を積極的に発言するようにしていました。
――ご自身以外はネイティブの方ばかりだったということですが、会話はスムーズに行けました?
いや、ディスカッションするときの話すスピードが速すぎて、全然ついていけなかったので「もう少しゆっくりお願いします」ってお願いしました。
そこでもまたショックを受けて、「もっと頑張ろう」と気持ちを改めるきっかけにもありました。
――リスニングを強化するためにどんなことをされたんですか。
TOEICのときの対策に戻るんですけど、YouTubeのTOEICリスニング対策の問題集を集中して解きました。そうした日々の努力と、実践でのアウトプットを繰り返していくなかで、少しずつ英語に対して自信がついていきました。
マルタで日本人じゃない振りをする!?
コロナ禍の影響もあり、留学を辞退した安部さん。
ただ、3年次の春休みに南ヨーロッパのマルタに行き、1カ月半ほど滞在した。
同級生たちが留学に出発しだした時期で、私は辞退したんですけど「そのことを後悔したくない」「じゃ、私も海外に行ってみよう」となって、私費でマルタに語学留学に行きました。
マルタを選んだのは、単純に費用が安かったからです。
1年次から塾講師とイタリアンレストランのアルバイトに従事し、そこで貯めたお金を使って現地に行ったので、1分1秒を無駄にしたくないと、全力で英語のスキルアップに努めた。
具体的には、現地での語学学校での勉強、ホームステイ先での交流などはもちろん、自分にプレッシャーをかけるため、現地で日本人じゃないふりをした。
アメリカで育ったみたいなふりをして、日本語がしゃべれないキャラでずっと押し通していました(笑)。でも、その設定を通そうと思ったら、会話が遅いと怪しまれるじゃないですか。
だから、常に早くしゃべることを意識するのと、どのように話したらいいのかを考え、毎日ものすごく勉強してたら、徐々に頭の回転がついてきて。
そのマルタでの経験を経て、英語力をさらに伸ばすとともに、現地でさまざまな人たちと交流するなかで、自身の視野も大きく広がった。
――具体的に、どのような発見があったのか教えてください。
マルタにはヨーロッパ中から人が集まっているので、いろいろな国の人がいたんですけど、それぞれ考え方も違って。
そういう人たちとの交流を通じて、日本人の考え方はいろいろ難しく考えすぎというか、自分に厳しすぎるのかもしれないと知りました。
――どんなことを言われて、そのように感じたんですか?
外資の航空会社でCAになりたいと思っているけど、難しそうだから日本で別の業界での就活も考えているみたいな話をしたときに、「きっとCAになれるから、そんなこと考えちゃダメ」「よく頑張ってるから、自分をそんなに責めてはダメ」と言われたり。
そういう考え方もあるんだ、素敵だなって、思って。なんだか気分が少し楽になりました。
実際に、安部さんはその後、外資の航空会社でCAになるという目標を達成する。
夢を実現し、カタール航空に就職内定
就職内定したカタール航空の募集があったのが7月で、外資の場合、CV(curriculum vitae=英文履歴書)をまずは提出する。
約1カ月後の8月20日に「書類が通りました」という通知とともに、8月27日に3日連続で面接試験を行うので東京に来てください、という連絡を受ける。
面接試験の概要は以下の通り。
- 初日 数分間の面接試験で 約800人⇒100人。
- 2日目・午前 英語の筆記テスト 100人⇒70人。
- 2日目・午後 面接ほか 70人⇒30人。
- 3日目 書類作成と最終面接(15分)30人⇒全体の何割かに「おめでとう!」メール
- そこから指定の写真を送付⇒4名に合格通知
私と同じタイミングで合格通知が届いたのは2名で、その後追加で2名に通知が行ったと聞いています。
めちゃくちゃうれしかったですし、連絡をいただいてとても驚きました。
――高い競争率を勝ち抜かれたわけですが、自己分析的に合格した要因はなんだと感じますか?
企業研究を一日6時間ぐらいしてたんですよ。関西外大のキャリアセンターに『月刊エアステージ』という本が過去5年分くらいあって、その他置かれてある航空系の雑誌を片っ端から読んでいました。
あとは過去問や先輩の体験談ノートなどを読んで、傾向と対策を練るとともに、英語で行われる質問すべてに自然な感じに回答できるよう、その答えを自分で作成していました。
――質問の回答を考えるときに心がけたことは?
いかにも「しっかり考えてきました」みたいな答えだと棒読みっぽくなるし、「いま自分の中から出てきた思いです」というのが自然と会話に出てくるようにしないとダメなので、その点に気をつけて何度も練習しました。
――実際の面接では、うまく対応できましたか。
そうですね。「なぜ当社に?」という質問には1分ほどの長さの回答を用意していましたが、面接官の方があまり長い話は求めてなさそうという感知力が働いて、ショートバージョンにして話しました。
――臨機応変に対応したと。逆に、十全な準備があったから、そのような対応ができたとも言えますね。
元CAの先生の授業で、ホスピタリティとは「心×感知力×表現力」だって教わったんですけど、面接でそのことを実感できました。
「カタール航空のことが大好きです」って心があってもそれを伝達する英語力、表現力がないと伝わらないし、相手の人が何を求めているのかを感知する能力がなかったら、空回りしてしまう。だから、下準備が活かされたのはもちろん、そうしたホスピタリティについて教わっていたから、結果的に合格につながる対応が取れたように思います。
――先生に感謝ですね。
本当に! ホスピタリティの授業を受けたのは2年次のときで、その際はおっしゃられていた内容をなんとなく理解した感じで、体に落とし込めていませんでしたが(笑)、ちょっと遅いんですけど就活のときにしっかりと飲み込めました。
例えば、いま当たり前のように授業を受けているけど、「教室の机がそろってるのは、誰のおかげ?」とか、いろいろなところに目を向けなさいと教えてくださいました。その中で周囲の人への感謝の気持ちをはじめ、少しずつ私自身も視野を広げていくことができたと思います。
さいごに
入学当初、英語が話せなかった安部さんだったが、
- 関外大での日々の授業
- 放課後の図書館での課題での取り組む
- 自宅で自身の行動をすべて英語化する
- YouTubeのTOEICリスニング対策の視聴
- 海外のドラマや映画を日本語字幕で視聴
- 留学先で日本人じゃないことを装う
明確な目標を持ち、上記のような勉強、行動に取り組むことによって、4年間で飛躍的に英語力を伸ばした。
そして、身につけた英語をツールとして、目標だったカタール空港への就職も内定。
まずは一人前のCAになることを目標です。それと、今までお世話になった人に、仕事を通じて恩返しをしていきたいですね。
(航空会社からチケットが毎年もらえるので)両親はもちろん、親戚やお祖母ちゃん、恩師、友人など、カタール航空を利用してドーハに招待できればと思っていて、その日が実現するのを今から楽しみにしています。
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