2023年4月、関西外大に新たに誕生した国際共生学部 国際共生学科。
春に入学してきた一期生たちが無事に春学期の学びを終え、秋学期からは外国人留学生たちが学部生として合流する予定です。
全科目がオールイングリッシュ、留学生との共学、という特長のある国際共生学部ですが、実際にどのような授業が行われているのかを中心に、同学科一期生の小島 颯太さんにお話しを伺いました。
※インタビュー内容はすべて取材時のものになります
国際共生学部 国際共生学科について
最初に、国際共生学部 国際共生学科について簡単にご紹介しておきます。
ポイントは、
- 定員:100人(海外からの編入学生30人含む)
- 全科目をオールイングリッシュで開講
- SDGsや国連、NGOの取り組みを題材に社会への貢献についても学修
- 留学生との共学
といった感じで、多様な文化背景を持つ留学生との協働を通して、より高度な英語実践力のほか、異文化理解力や課題解決力、チームワークといったグローバル市民として必要なスキルを養います。
※国際共生学科の詳細については、以下のページをご参照ください。
学生プロフィール
学生プロフィール
小島 颯太さん(国際共生学部 国際共生学科1年)
名古屋市立山田高等学校(愛知県)出身
ご両親の影響で幼少時から洋楽などに親しみ、自然と海外やアメリカが好きになったという小島さん(ご両親が大のレッド・ホット・チリ・ペッパーズ好き!)。
また、アメリカのテレビアニメ『スポンジ・ボブ』やドラマ『フルハウス』なども好んで視聴し、幼少時から漠然と「将来は海外に飛び出したい!」と思うようになっていた。
国際共生学部に入学したきっかけ
漠然と、「将来はアメリカに行く!」と憧れを抱いていた小島さんだが、その夢の実現を具体的に考え出したのは高校2年生のとき。
高校卒業後の進路を考えた際に、日本の大学に進学すると遠回りになるような気がしたので、アメリカの大学に入学できないかと考えた。
――アメリカへの憧れが強かったということですが、英語自体はもともと得意だったんですか?
高校2年のときに受けた英検2級は取れたんですけど、これは偶然合格したみたいな感じで…。ただ、親とか先生が「英語ができる」と勘違いして、もっと頑張れ!となって。
僕自身もアメリカの大学に行こうと考えていたので、それに乗っかる感じで、高校3年に上がる前の春休みから、英語教育に特化した塾の「海外大学進学コース」に通い始めました。
――そこで英語力も高まった?
めちゃくちゃ英語の勉強をがんばったこともあって、夏くらいまでにアメリカの大学に入学できるくらいの語学力にはなっていました。
塾が留学先の紹介や入学の手続きなどもやってくれるところだったので、秋くらいに具体的な話を進めたんですけど、そのときに問題が発生して…。
高校卒業後にアメリカの大学に行く予定が…
アメリカの大学には、
- コミュニティカレッジ(2年制大学)に通った後
- 4年制大学に編入学する
というプランだった。
英語力はなんとか試験をクリアできるレベルにまでなっていたが、海外留学にかかる費用の概算を出してもらったときに、問題が発生した。
予算が大幅にオーバーしていたのだ。
両親も年間400万円くらいは想定してくれていたんですけど、4年間で2,500万円以上かかると言われて…。
それで、急きょ日本の大学への進学も考えるようになりました。
グローバルチャレンジ入試で国際共生学に入学
そのなかで、候補として名前があがったうちの一つのが関西外大に2023年4月に新設される国際共生学部 国際共生学科だった。
実は、小島さんは高校3年生の夏休みに、ご両親の勧めもあって、同学部のことを詳しく知るために関西外大のオープンキャンパスに参加している。
でも、そのときは予算オーバーの話が出る前だったので、僕自身はぜんぜん乗り気じゃなかったんですよ。なんだったら、「海外を諦めさせようとしてる」って警戒してた感じで(笑)。
――なるほど。国際共生学部の話を聞いてみた印象はどうでした?
全科目オールイングリッシュでの受講や留学生との共学は魅力的でしたし、留学制度も充実していると感じました。
でも、そのときの僕は「アメリカの大学に入ること」しか考えていなかったので、前向きに進学は検討していませんでした。
――その後、費用の問題が表面化して以降は、納得して日本の大学を受験した感じですか。
納得はしてなかったし、受験勉強にも身が入らなかったんですけど、海外の大学に行くって言ってるのに国内の大学を落ちるわけにはいかないと思って頑張りました。
結果的に、本学と2年間の留学制度があった立命館の国際系の学科に受かりました。
――ちなみに、国際共生学部はどの入試方式で合格されたんですか?
実は年内の試験はすべて不合格で、3月に行われた後期日程の「グローバルチャレンジ入試」※1でした。
3月中旬くらいに合格がわかって、そこから慌てて「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」※2に引っ越して、4月から新学期がスタートみたいな。
※1 グローバルチャレンジ入試
対象学部は国際共生学部のみで、同入試で合格した場合、希望者全員が「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」に入学することができる(入居費は自己負担)。
グローバルチャレンジ入試を含む、各種入試制度は以下のページをご参照ください。
※2 「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」
外国人留学生と関西外大生が共同生活を送る教育施設。詳細については以下の記事をご参照ください。
国際共生学部 国際共生学科での学び
国際共生学部の第一期生として入学してきた小島さんだが、「海外の大学」への思いは完全に消えてはおらず、入学当初は前向きな気持ちになれていなかった。
でも、そんな気持ちは入学してすぐに払しょくされる。
アメリカの大学に行こうと思ってたくらいだから英語力には自信があったんですけど、ネイティブの先生の授業とか最初、何を言ってるかわからなくて。
でも、周りはみんなわかってて、「あ、俺ついていけてない」と痛感し、やらなきゃ!となりました。
――自信満々だったけど、自分のレベルはまだまだだった、みたいな。逆にいうと伸びしろがあるというか、ここでしっかり鍛えられると。
はい。「ここで良かったんだ」と感じるとともに、本気で勉強をがんばらないとと危機感を持ちました。
帰国子女やネイティブの学生たちと同じクラスで学ぶ
「多様性」「共生」が国際共生学科のキーワードの一つだが、小島さんが所属するクラスの構成を訊いてみると、
- 帰国子女が3分の1
- ハーフや外国籍の学生が3分の1
- 残りの3分の1が日本の高校からの入学
大きく分けるとだいたいこのような感じで、中にはドイツ(ドイツ人で日本語がペラペラ)から日本の高校生と同じ入学試験を受けて国際共生学部に来た学生もいるという。
――オールイングリッシュの授業ですが、英語でのコミュニケーションは問題がない感じですか?
そうですね。もちろん、ネイティブの人にはかなわないし、僕なんかはまだまだな感じで。日本人の学生は文法が得意な人が多くて、僕の場合、そこもそんなに強くなくて…。
だから、「やばい!」「がんばらなきゃ!」となって、入学早々スイッチが入りました。
――国際共生学部で学び始めてまだ半年ですが、入学前と比べて英語スキルは伸びましたか?
すごく伸びたと思います。一番は「聞く力」と「話す力」ですね。
相手が話している言葉が「文字」として頭の中で浮かび上がってくるようになって、自分の言いたいことも瞬時に英語に変換されて伝えられるし、格段に英語でのコミュニケーション能力は向上しました。
日々の授業はグループワークやディスカッションが中心
普段の授業の様子を聞いてみると、「一人で取り組むより、周りと協力して何かをする」ということが多いそうで、グループワークやディスカッションに取り組むのが日常的な光景になっているという。
例えばそれは、英語の4技能を学ぶ授業でもそのような形態が取られている。
――writingの授業でも、教科書をベースにして文法的なことを学んでみたいな取り組みではないということですね。
そうですね。実際にあったwritingの授業の課題としては、「technology on teenagers」というテーマを与えられて、「テクノロジーが10代の子どもたちにどのような影響を与えているか」ということをグループで話し合い、プレゼンを行いました。
――プレゼンの発表を通じて、writingのスキルを磨くということですか?
論文を検索する「グーグルスカラ」を用いて関連する海外の論文を探し、引用して論を構築するとともに、自分たちの意見をまとめます。
資料の引用の仕方、英語で論文を書く力を磨き、そのなかで語彙力をはじめとするライティングの力を養っていく感じですね。
多様性を実感する毎日
クラスにさまざまな国籍の学生がおり、日々のコミュニケーションや授業でのディスカッションなどを通じて、必然的に「多様性」に触れることになる。
オールイングリッシュで授業をやっていること以上に、その環境を国内で体感できるのも、関西外大の国際共生学科ならではではないかと語る。
――具体的なエピソードはあったりしますか。
トランスジェンダーの問題をテーマに議論していたときに、いきなり大きく制度は変えられないので、当事者と社会がそれぞれ許容しあって、お互いをリスペクトしあい、より良い方向を探っていければといった考えを発表したら、ヨーロッパ出身の子にすごく反論されて。
――マイノリティをもっと尊重しなさい、みたいな?
そんな感じで、すごく怒られたので謝ったんですけど、やっぱり海外から来ている学生は「自分の意見をはっきりと言う」人が多いですね。
―文化の違いなどから来る「考え方や相手への伝え方の違い」を実感されたわけですね。
そうですね。多様性を受け入れることの大切さは誰もが理解していると思うんですけど、実際にまったく異なる意見に出会い、一方的にこちらを否定されたときに、「多様性の受容」の難しさを痛感しました。
――なるほど。その体験を通じて得られた「気づき」や「学び」はありましたか?
海外の方は自己主張してくるので、やっぱり自分の意見をしっかりと伝えていくことが大切なんだと。一方で、日本人は相手のことを尊重しつつ、自分の意見を伝えていくといったことをするので、改めて日本の良さみたいなのも相対的に感じました。
あとは、難しい議論になってもその場で反論できるための英語力を磨こうと(笑)。
――日本語でも専門分野のディスカッションは大変ですが、それが母語ではない英語でとなると、よりハードルが上がりますね。
細かなニュアンスを伝えることの難しさを日々感じていて、例えば日常会話の中でも「その表現は失礼に当たるから使わない方がいいよ」ってネイティブの学生に指摘されたこともありました。
同じ言葉でも受け取り方が全然違うなど、価値観の違いが言葉の使い方の違いにも表れてくるみたいな…。
――確かに、例えば日本語の「ごちそうさま」とか、言葉と文化は深く結びついています。
ネイティブ並みに話そうと思ったら、文化的な背景なども知らないといけませんし、だから今は毎日勉強ですね。
言語だけじゃなくて、国際的な人間になるためのいろいろな素養を日々学び、身につけていってます。
――ちなみに、ディスカッションして、ここは他の学生に負けないといった自分の強みは見つかりました?
知らないことは知らないって言えることですね。知らないことをそのままにせず、その場で徹底的に質問します。
あとは企画とかを考える時のアイデア出しは誰よりも早いなと思います。この点はネイティブの子たちにも負けていないと自負しています。
「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」で日常的に留学と交流
上でご紹介したように、小島さんは外大生と外国人留学生が共同生活を送る教育施設 「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」に入居できる「グローバルチャレンジ入試」で合格し、入学時から「結」で生活を送っている。
――「結」での生活はどうですか?
単純に、いろいろな国の学生と日常的に交流ができて楽しいですね。
――会話は英語ですか?
海外の方とはそうですね。同じフロアの隣の留学生とかは日本語がペラペラで、最初は英語で話しかけていたんですけど、一度日本で話したら英語と同じくらい堪能で、すごくびっくりしました。
――「結」ならではのエピソードですね。毎日が国際交流というか、日常的に英語でコミュニケーションができる環境はいかがですか。
国際共生学部ではすべての授業がオールイングリッシュで、生活空間の「結」でも当たり前のように英語が飛び交う環境で、海外の大学に進学しようと思っていた僕には、まさに理想的な環境でキャンパスライフを送ることができています!
――2022年度は約960人の外国人留学生が関西外大にやってきました。そして、また秋学期から新たに留学生がやってきます。
春学期は3月に入学が決まって急きょ入居した感じで、慌ただしいなかで新生活がスタートしましたが、今度は新たに来る留学生たちをしっかりと迎え入れることができると思います。
多くの人との新たな出会いを楽しみにしています!
留学してアメリカの大学の学士・修士を修得するのが目標
国際共生学科で2年間しっかりと英語スキルを高めるとともに、専門分野の学びを深め、3年次から海外の大学への留学を希望しているという小島さん。
具体的には、「大学・大学院留学」を利用し、関西外大の学士とともに、留学先大学の学士および修士の合計3つの学位の取得をめざす。
――もともとアメリカの大学に入学しようと思ってたくらいだから、長期の留学は外せない感じだった?
そうですね。2年間以上の留学には行きたいと思っていたので、そうした留学プログラムがあるのが進学の条件でもありました。
――本学の場合、「フルスカラシップ」「スカラシップ」といった留学奨学金も充実しています。
ほんと、なんて良い制度なんだと思いました。留学費用の面でアメリカの大学への進学を断念しただけに、そのありがたみをより一層実感しています。
つまり、本学に納入が必要な金額(学費+学友会費)=年間115.4万円で、留学先でかかる学費などがまかなえるということ。
例えば、小島さんが当初想定していたアメリカの大学への進学では4年間で約2,500万円が必要で、1年間だと約625万円になるわけだが、それがフルスカラシップだと年間115.4万円で留学が実現できる。
――英語力や普段の成績が一定の基準を超えていると、本学の留学奨学金は定員なく誰でも活用できます。
英語力は問題ないと思うんですけど、普段の授業もけっこうレベルが高いので、そこで好成績を取るのが大変ですね。春学期はなんとか平均80点以上取れました。
――海外の大学だと課題なども多いので、そういう意味でも留学に向けていい勉強ができていますね。
「成長できる環境にいるな」っていうのは感じるので、大変ですがやりがいも大きいです。
さいごに
国際共生学部での授業、「GLOBAL COMMONS 結 -YUI- 」での生活などを通じて、英語スキルはもとより、思考力をはじめ人間的な成長も日々実感しているという小島さん。
英語の勉強以外に、意識的に取り組んでいることはありますか?と訊ねると、「日本語の本を読んでいます」という答えが返ってきた。
――それは小説とかですか?
はい。ベタに村上春樹とかです。誰に言われたわけでもなく、英語の本だけじゃなく、日本語も読んだ方がいいかなと思って。
――確かに。母語の語彙力が第二言語の習得にもプラスに働くという話もありますもんね。ちなみに、勉強が大変そうですが、アルバイトはやってるんですか?
はい。ディスカウントストアで働いています。課外活動では、国際共生学部のPRをする有志の活動にも取り組んでいて、オープンキャンパスで自分たちで撮影・編集をしたPVを流しました。こちらの活動にもチカラを入れていきたいです。
――勉強以外のキャンパスライフも充実しているということですね。それでは最後に、高校生のみなさんへのメッセージをお願いします。
国際共生学部はいい意味で、一般的な日本の大学と大きく違います。最初は戸惑いを覚えることもあると思いますが、目的意識を持って努力を続ければ大丈夫。
この学部に入って一緒に夢を追いかけましょう!