国際文化研究所(IRI)が言語・文化研究フォーラムをオンラインで開きました

 国際文化研究所(IRI)の第7回言語・文化研究フォーラムが2月17日、オンラインで開催されました。恒例となっている公開講座の記念講演は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止になり、Zoomを使っての研究発表のみとなりました。


▲開会式もオンラインで行われました

 17人の教員が3つのチャンネルに分かれ、計10のテーマについて研究結果を発表しました。

 英語キャリア学部小学校教員コース担当の塚田泰彦教授、村上明子教授、森田健宏教授は、教員養成課程の学生の「書く力」のデータを集め、テキストマイニングなどで問題点を洗い出し、改善方策について発表しました。


▲教育者には「書く力」が求められています

 全体として書くことが質量ともに低下していると指摘し、小学校教員の大切なコミュニケーション能力の一つである手書きの機会が激減し、文章の内容にバリエーションが乏しくテンプレート的な書き方が目立つ点などを示しました。

 そのうえで、「今後の高度情報化社会の中で教員を目指す学生には、書くという行為を育み、守ることが必要である」「小学校教員になるためには、複雑で多様なジャンルに対応できる書く力を養うべきだ」と提言しました。

 外国語学部の高屋敷真人教授と宮内俊慈教授は、受講生のアンケート結果に基づいて進めている留学生別科の日本語教科書改訂について発表しました。


▲留学生の日本語教育にはアンケート結果が生かされた教材が使われています

 日本語会話レベル5、6の中級クラスでは、ユニットを柔軟に変更できるモジュール型(要求対応型)の教材を使っています。「配偶者の呼び方は、夫?主人?」というジェンダー論をテーマにしたユニットを例に挙げて、アンケート調査の結果から、トピックの変更を検討しました。ジェンダー論は継続するものの、留学生にとってはより身近な「制服ってどう思う?」というトピックに書き換えた経過を報告し、「アンケートは引き続き実施して改訂に生かしていく」と話しました。

 研究発表のテーマと発表者は次の皆さんです(敬称略)

▼小学校教員養成課程に所属する大学生の書く力の研究―関西外国語大学を事例に―
 塚田泰彦、村上明子、森田健宏(英語キャリア学部)

▼Russia,Japan,and Overlapping Interesta in the North Pacific,17th~19th Centuries
 Scott C.M.Bailey(外国語学部)

▼The Effect of Group Randomization Style on Motivation and Cohesion in Live Online Courses
 Elliot L.Patton,Megumi Tsuchida(外国語学部)

▼「問いかけと応答」の認知語用論的分析から見る共感構築の成功と失敗
 後藤リサ(英語国際学部)鹿野浩子(自治医科大学)

▼メンタル・スペースと英語モダリティとの関連性
 長友俊一郎(英語国際学部)

▼多言語社会におけるコード・スイッチングの機能と役割―「連帯」「疎外」「適応」を中心に
 武藤輝昭(外国語学部)岡田広一(短期大学部)

▼指称性主語と叙述性主語について―有界性、有標性の観点から―
 吉田泰謙(英語国際学部)

▼言語行為論による国際社会の理論的分析の可能性をめぐって
 岸野浩一(外国語学部)

▼留学生へのアンケート調査に基づいたモジュール型中級日本語教科書の開発
 高屋敷真人、宮内俊慈(外国語学部)

▼留学生と日本人との日本語会話の誤用・使用調査
 鹿浦佳子、田嶋香織(外国語学部)


 
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