世界屈指のIR企業から最先端の知識と実践を学びました/第2回「KGU×MGM エデュケーションプログラム」に本学学生ら22人が参加


 
サービス・ホスピタリティ業界でグローバルに活躍するリーダーを育てようと、3月2~5日と9、10日の6日間、「KGU×MGM エデュケーションプログラム」がオンラインで実施されました。プログラムには関西外大生22人が参加し、世界屈指のIR(統合型リゾート)企業「MGMリゾーツ」の責任者からIRの最先端の知識を学ぶとともに、MGMリゾーツが運営する5つのIRについてグループごとに発表し、理解を深めました。
 

「KGU×MGM エデュケーションプログラム」は関西外国語大学とMGMリゾーツの共同で、昨年から始まりました。昨年はラスベガスでIR施設を見学するなどのプログラムが組まれましたが、今回は新型コロナウイルスの影響によりオンラインで開催しました。

今年は、関西外大生22人に加え、京都大学経営管理大学院観光経営科学コースで「サービス&ホスピタリティ」を学ぶ大学院生7人も参加しました。オンライン開催のおかげで、ラスベガスの他、マサチューセッツ州やメリーランド州、マカオ、東京などから約30人のスペシャリストの参加が可能となりました。学生は4日間、毎日60~75分の講義を3コマから4コマ受講し、5日目にグループで発表に臨みました。また全期間で約1時間にわたり、スティーブン・ザーカー教授とケイト・インヨン・ユ助教、市川 敏 講師が、学生の質問に答えるなど手厚くサポートしました。
 

講義のテーマは「コロナ禍、そしてその先のMGM」「責任あるゲーミング」「VRを活用した研修」「SDGs」「MICE」のほか、マカオや日本のMGMが独自に取り組む戦略など、広範囲に及びました。加えて、英文履歴書作成のワークショップが行われ、面接のポイントやセルフ・ブランディングについても学びました。主な講義の内容について簡単に紹介します。

【コロナ禍、そしてその先のMGM】
▲デジタル技術を活用した取り組みの説明で「CLEAR Health Pass」を紹介するフリンさん(左一番上)

MGMリゾーツの健康・安全戦略のトップであるジョン・フリンさんが、コロナ禍で一時閉鎖を余儀なくされたIRを再開させるために講じた感染症対策について話しました。そのひとつがデジタル技術を活用した安全の確保です。迅速なPCR検査の実施と、デジタル技術を駆使した健康情報をまとめたアプリを使い、健康に問題のなかったお客様のみが「CLEAR Health Pass」を取得。これをスマホで表示して施設に入場できる仕組みを作りました。


【SDGs】
▲持続可能なアイデアをまとめたカードを説明する、持続可能な運営の責任者 ブリタニー・プライスさん(左一番上)

MGMが10年以上にわたり取り組んできた持続可能な経営がテーマです。独自に策定したプログラム「MGMリゾーツ・グリーン・アドバンテージ」に従い、水やエネルギーの使用量、二酸化炭素の排出量の削減や、チャリティー団体への食事の寄付を行っています。また、イベントを企画する企業に対し、「リサイクル可能な食器を使う」など持続可能なアイデアをまとめた52枚のカードを提示し、イベントに採用してもらうことで、社会的・環境的利益につなげました。
 


▲学びの集大成となったプレゼンテーション MGMスタッフの方々のコメントや質問で、学びが深まりました。

プログラムの集大成は、参加した学生4~5人が1つのグループになり、課題のIRについて発表した3月10日のグループプレゼンテーションです。クラスメートやMGMのエグゼクティブにそれぞれのIRの強みや特徴を伝えました。それぞれのグループの発表について触れておきます。

【グループ1・アリア リゾート&カジノ】
ラスベガスにある「アリア リゾート&カジノ」の強みはデジタル技術と持続可能なIR経営にあります。デジタルキーやモバイルチェックインの活用、環境に配慮した認証基準を満たしたグリーンキーの取得を例に挙げました。

【グループ2・MGM コタイ】
アメリカのIRとは違い中国にある「MGM コタイ」は、家族を含む従業員のつながりを深める独自の活動を行っています。数々の芸術品が館内を彩っているのが特徴的です。

【グループ3・マンダレイ・ベイ】
ラスベガスの「マンダレイ・ベイ」は、犬同伴で宿泊できるIRで、流れるプールや、サメが泳ぐ水族館「シャークリーフ・アクアリウム」など家族で楽しめる施設です。

【グループ4・MGM ナショナル ハーバー】
メリーランド州の「MGM ナショナル ハーバー」は、他の地域型IRと比較して宿泊費が高額です。特別な機会に利用されると仮定し、新婚旅行の企画になぞらえて施設やサービス、レストランを紹介しました。

【グループ5・ボー リヴァージュ】
ミシシッピ州の「ボー リヴァージュ」は、ハリケーンの甚大な被害を乗り越えた歴史を持ちます。現在の姿を動画で紹介し、アメリカ南部特有のおもてなし「サザン・ホスピタリティ」を大切にしているのもユニークだと指摘しました。

 
 
▲修了書を手に誇らしげな笑顔を見せる学生ら

グループプレゼンテーションを終えて行われた修了式では、人材開発分野の責任者を務めるローラ・リーさんがリーダーシップについて基調講演を行いました。新型コロナウイルスの影響で予測困難な現在、求められるリーダー像として、あらゆる変化に柔軟に対応し、苦境や逆境を乗り越えられるリーダー「レジリエントリーダー(Resilient Leader)」を挙げ、その要素や役割について語りました。そして、レジリエントリーダーになるためには「学びつづけること」「企業が何のために存在しているのか共有すること(Purpose-Driven)」「人脈を築くこと」「自身のために時間を使うこと」が必要だと述べました。続いて、ユ助教が学生一人ひとりの名前を読み上げると、呼ばれた学生はスクリーンに大きく映し出され、晴れやかで誇らしげな笑顔を見せました。
 

プログラムに参加した福重晴菜さん(外国語学部英米語学科2年)は、「ホスピタリティイコールお客様により良いサービスを提供することだと思っていたので、ホテルのフロントやCAなどお客様と直接接する仕事を思い描いていました。しかし、ホスピタリティ業界のMGMには、財務やマーケティングはもちろんI T部門まで、様々な職種があることを知り、ホスピタリティの見方が変わりました」と6日間を振り返りました。そして「今回出会ったMGMの方々は熱意に溢れ、自分の仕事に誇りを持っているように見えました。この春には3回生になり、本格的に就活が始まります。私も誇りを持って働けるよう、将来について考えたいです」と意欲をみせました。

また、藤本鈴菜さん(外国語学部英米語学科2年)は「IRを構成するさまざまなホスピタリティマネジメントを学び、他の業界や業種でのホスピタリティマネジメントはどのように行われているのか、学びの幅を広げていきたいです」と成果を強調しました。そして「クラスメートとグループ発表に向けた話し合いをする際、機器のトラブルでスムーズにいかないこともありましたが、頻繁にコミュニケーションを取り合うことで、オンラインでの発表を成功させることができました。また、熱心に学び積極的に発言する先輩の姿に良い刺激を受けました」と話していました。
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