カタルーニャの独立の動きについて、愛知県立大学の奥野良知教授がオンラインで講演しました/イベロアメリカ研究センター公開講座

 スペインのカタルーニャで強まる独立の動きについて学ぼうと、イベロアメリカ研究センターが主催する公開講座「カタルーニャにおける独立支持の増加:その要因と現状」が7月16日、オンラインで開催されました。カタルーニャ地域研究・近現代カタルーニャ史が専門の愛知県立大学外国語学部の奥野良知教授が、最新情報を交えながら講演し、約150人が参加しました。


▲カタルーニャの旗(左)とともに語る奥野教授

 スペインのカタルーニャ自治州では2010年以降、独立を支持する勢力が拡大しています。奥野教授は「スペイン政府はどのように対応しているのか」「袋小路に入り込み、解決の糸口が見えない要因は何か」「EUはどのような動きを見せているのか」といった点から、カタルーニャの独立問題に切り込みました。


▲カタルーニャの独自性と歴史について分析しました

 カタルーニャの面積はスペイン全土の6%にすぎないが、スペインのGDPの2割を生み出すスペイン経済の中心地であると指摘しました。そして「カタルーニャ語を公用語とし、独自のアイデンティティーやメンタリティーを持ち、民主的で水平的な政治文化を育んできました」とその歴史を振り返り、カタルーニャとスペインの対立の構図を、さまざまな側面から分析しました。


▲警察による暴力的な妨害を受けた動画が流されました

 スペイン政府は、警察による暴力で住民投票を阻止しようとしたり、「スペインの一体制」に反するとして自治権の削減を強行するなど、独立の動きを強制的に抑えつけています。奥野教授は「第一義的な責任はスペイン政府にあるが、独立派も住民の十分な同意を得ないまま独立宣言を実施するなど正当性に欠けていました」と指摘しました。


▲カタルーニャ独立を訴えるデモの様子も紹介しました

 そして「スペイン政府は外交的に敗北しました。政府の合意の下での住民投票の実施が求められ、EUの仲介によって解決の道を探っていくことが必要です」と話しました。


▲参加者からの質問にも丁寧に答えていただきました

 講演に続いてチャット機能を使った質疑応答がありました。「カタルーニャは独立してもやっていけるのか」「カタルーニャではどのような教育がされているのか」「住民投票にはどれぐらいの賛成があれは正当性があるといえるのか」といった質問が寄せられました。奥野教授が最新のデータや情報を挙げながら、一つ一つ丁寧に答えていました。
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