ILO駐日代表の高﨑真一さんが「ビジネスと人権」をテーマに講演、120人が参加しました/SD研修

 2022年度の第1回SD研修(テーマ別)が6月29日開かれ、国際労働機関(ILO)駐日事務所駐日代表の高﨑真一さんが「ビジネスと人権~日本社会に与えるインパクト」をテーマに講演しました。オンラインでも配信され、教職員120人が参加しました。


▲ILO駐日代表の高﨑さんが講演しました

 高﨑さんは旧労働省(現厚生労働省)に入省、大臣官房審議官、愛知労働局長などを経て、2020年6月からILO駐日事務所で駐日代表を務めています。この日は、ビジネス人権が企業の事業活動の価値を決める時代になり、日本はビジネスモデルの大きな転換を迫られていることを中心に講演しました。


▲オンラインを含めて120人の教職員が参加しました

 最初に高﨑さんは、ILOの創設、国際労働基準の制定、そして2011年に定められたUNGP(ビジネスと人権に関する国連指導原則)と、事業と人権をめぐる変遷をたどりました。そして「かつての企業は利益追求一辺倒でしたが、現在では収益の向上に合わせて人権や環境を同時に解決することを求めるビジネスモデルになってきました」と話しました。


▲「ビジネスモデルが大転換期を迎えています」と強調しました

 企業は、法規制のほか、投資家や消費者などからの圧力、そして人権配慮の格付けなどで、ビジネス人権を厳しく求められるようになりました。しかし高﨑さんは「総じてビジネス人権への日本企業の評価は厳しい」と述べたうえで、ジェンダーやハラスメント、苦情処理などが日本企業の遅れている分野だとし、「外国人技能実習制度が大きなリスクになっている」と指摘しました。

 SDGsにも言及し「SDGsは環境問題のように取られることが多いのですが、メインストリームは人権問題です」と話しました。


▲参加者からは質問が相次ぎました

 高﨑さんは最後に学生へのメッセージとして「報道などで内外の動向を常にウォッチし、国連機関のセミナーなどに参加したり、消費者としてフェアトレード製品に注目するなど、グローバルな視点を身に付けるよう努力してほしい」と締めくくりました。


 
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