修士論文の公開発表が3年ぶりに対面形式で行われました

 大学院生による2022年度の修士論文公開発表が10月22日、中宮キャンパスであり、英語学専攻5人、言語文化専攻7人の計12人が日頃の研究の成果を発表しました。コロナ禍に見舞われた2000年以降はオンラインで実施しており、対面形式で行われるのは3年ぶり。


▲3年ぶりに対面で行われた修士論文公開発表会

 発表には、大学院生、大学院担当の教員ら約40人が出席しました。冒頭、大学院外国語学研究科長の益岡隆志教授があいさつし、「論文発表は院生が一堂に会する大切な場です。この機会を通じて大学院全体と大学院生の主体的な取り組みである院生研究会の活性化につなげていってほしい」と激励しました。


▲あいさつする益岡隆志・大学院外国語学研究科長

 一人当たりの発表時間25分、質疑応答10分とし、英語学専攻と言語文化専攻の2教室に分かれて実施しました。言語文化専攻の博士前期課程2年細河紗羅さんは「現代日本語小説における文字表記から受けるイメージについてー江國香織の文学作品からー」の研究テーマで発表しました。


▲小説における文字表記から受けるイメージについて発表する言語文化専攻の細河紗羅さん

 江國香織の作品『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』には、漢字仮名交じり文のほか、平仮名のみ、片仮名のみで書かれた文章があることに着目し、文学作品上の文字表記のイメージを分析するとともに、漢字、平仮名、片仮名の3種の文字表記のイメージを明らかにすることを目的にしました。

 江國作品から3種の文字表記を抽出し、学生68人を対象にしたイメージ調査の結果も示され、文字表記の形態的特徴以外の要因がイメージに影響することがあると推測しました。

 質疑応答では、「文字に対するイメージは年代によっても違う。調査対象者の年代を幅広くしたほうがいいのでは」といったコメントが寄せられました。

発表者と研究テーマは次の通り。
◇英語学専攻
・河上真実「A Syntactic and Semantic Study of the One’s Way-Construction in English」
・鎌田優委「動機づけを高める英語教科書のストラテジーーアンケートから分析する理想的な教科書とはー」
・西村麻理奈「中学校の英語教育におけるディスカッション指導―主体的で深い学びのためにー」
・佐久間思帆「中学校用英語教科書における語彙の計量的分析」
・平江航士「英語モダリティにおける法助動詞の分析と意味論・語用論的モダリティの新解釈について」

◇言語文化専攻
・丸山朋子「外国人留学生への日本語指導案の工夫―心理効果から学習意欲の向上を目指すー」
・細河紗羅「現代日本語小説における文字表記から受けるイメージについてー江國香織の文学作品からー」
・秋田雛子「日本語における刀類の慣用表現に関する一考察」
・王婷芮「認知意味論の観点による多義動詞『付ける』の意味分析」
・段淑瑋「日本語助数詞『個』についての研究―量詞”个”の影響を受けてー」
・岡阪美心実「ビジネスコミュニケーションにおける語用論の有用性」
・寺澤瑞基「ストリーミング動画配信サービスVikiのマーケティング戦略:問題の原因と解決策」
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