ひらかた市民大学で、近藤英俊教授が「アフリカの呪術的世界」について話しました

 枚方市と市内5大学でつくる学園都市ひらかた推進協議会が主催する「ひらかた市民大学」が11月5日、ICCホールで開かれ、外国語学部の近藤英俊教授(文化人類学)が「呪いの時空―アフリカの呪術的世界から―」と題して話しました。市民ら約80人が聴講しました。


▲会場に映し出されたアフリカの人々の画像

 近藤教授は、アフリカにおける呪いや呪術の存在について、調査対象としているナイジェリアの事例を紹介しながら話を進めました。


▲アフリカの呪術について語る近藤英俊教授

 一例は、キリスト教の復活祭の礼拝で天使から「お告げ」があった男性の話。礼拝後に夜勤を終え、車で別の教会に行く途中、悲鳴を聞いた直後、何かを乗り越えた衝撃があり、幼児をひいて死なせてしまいます。警察に出頭し、3日間、こう留されました。

 幼児の父親は意外な反応を見せます。「あなたは正直に話し、3日間こう留された。それで十分だ」。父親は再婚者であり、幼児は前妻の子で、「前妻が子どもを連れていったのだろう。これで(今の)妻にも子どもができるだろう」と話します。 牧師は男性に「狙われたのはお前で、子どもが犠牲になった」と言います。

 男性は事故前から自分が狙われていることを自覚していたが、それでも助かったことを「あり得ないこと」と呪術的なできごとととらえていたといいます。


▲熱心に耳を傾けるひらかた市民大学の出席者

 近藤教授は、「Witch(魔女・魔法使い)などと呼ばれる呪いや呪術の使い手は、アフリカでは普通に存在すると考えられている」と指摘しました。

 また、呪術を「祈ること」と考えれば、日本でも、お守りやおみくじとして普通に存在するとし、例として、東大阪市にある石切剣箭神社のお百度参りなどを挙げました。

 さらに、近藤教授は、あり得ないこと、不思議なことを①典型から外れた「例外的存在」②見込みが裏切られた「想定外の事態」③「他でもあり得ること」ーーの3つに分類しました。

 そのうえで、「不思議の中身を考えると3分類のどれかに当てはまり、日本でもあまり変わらない。この不思議さをどう考えたらいいのか。〝出会い〟や〝縁〟とも関係するかもしれない。あり得ないことは世の中に満ちあふれているのではないだろうか」と問いかけました。

 ひらかた市民大学は、市内の大学がもつ専門的知識・情報を学習できる講座を提供し、市民の生涯学習の推進、生きがいの増進を図ることを目的に開催しています。

 学園都市ひらかた推進協議会に参加するのは、本学と大阪工業大学、大阪歯科大学、関西医科大学、摂南大学の5大学。
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