神戸市外大・京都大名誉教授の小林致広さんがメキシコの先住民をテーマに講演しました/イベロアメリカ研究センター連続公開講座

 メキシコの先住民をテーマに、神戸市外国語大学名誉教授、京都大学名誉教授の小林致広さんが10月13日、イベロアメリカ研究センターの連続公開講座で講演しました。


▲メキシコの先住民族について講演する小林名誉教授

 2023年度連続公開講座のテーマは「メキシコ先住民のリアル―独立から現代に至る抵抗の200年―」です。独立後のメキシコに暮らす先住民族にスポットを当てて、多文化共生の現実や難しさを知るとともに、共存のきっかけにしていくのが狙いです。

 この日は第1回として小林名誉教授が「メスティソの国メキシコという虚構の解体―先住民族抜きのメキシコはもういらない―」と題して講演しました。


▲多くの参加者が熱心に耳を傾けました

 小林名誉教授は最初に「昨日の10月12日はコロンブスがアメリカに到達日でした。メキシコでは1929年に民族/人種の日としましたが、2020年に多文化国の日と改称しました」と述べて講演に入りました。


▲先住民族をめぐる歴史と活動をたどりました

 講演で小林名誉教授は、インディオと呼ばれた先住民族の歴史をたどりました。かつてインディオをメキシコ市民に同化させることで問題を解決しようとした時代があったことや、先住民の文化を否定するのではなく参加してもらおうとの考え方が広がった時代があったことなどを紹介しました。


▲メキシコの先住民族の現在の姿も紹介しました

 先住民族の武装蜂起をきっかけに1996年先住民全国会議が創設され、2017年には先住民統治議会が発足するなど、先住民を巡る環境が大きく変化していると指摘しました。そのうえで小林名誉教授は「一つのメキシコではなく、多くのメキシコを許容できるメキシコを構想すべきではないか」と提起しました。

 メキシコの先住民をテーマにしたイベロアメリカ研究センターの連続公開講座は、10月26日(木)に天理大学の初谷譲次教授が「ユカタン・カスタ戦争の終焉と終わりなき抵抗-近代メキシコを生きるマヤ人の再領土化戦術-」、11月 9日(木)に同志社大学の柴田修子准教授が「メキシコのサパティスタ運動-たくさんの世界からなる世界を求めて-」をテーマに、いずれも午後5時から、中宮キャンパス5号館で講演します。



 
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