外国語学部「国際日本学科」4月スタート/英語、日本学、日本語教育学/日本語教員養成は急務

 ※関西外大通信316号の記事を基にまとめています

 英語運用能力を高度に磨き、日本語を教える技術や日本文化を世界に発信できる力を身に付ける「国際日本学科」が、4月にスタートします。


▲オープンキャンパスの体験授業から

 ■増加続ける在留外国人

 世界と日本をつなぐフィールドは、海外に限りません。日本国内の在留外国人の数は過去最大を更新しています。職場や地域コミュニティーの中で外国人と共生することが普通のことになりつつあります。

 文化庁の日本語教育実態調査によると、日本国内で日本語を学習する外国人は約22万人で増え続けています。一方で日本語教員は4万人前後と頭打ちです。その日本語教員も半分がボランティアで、5割強が50代以上です。日本語教育の現場はボランティアの中高年が支えています。

 また、外国人向けの日本語教室がない自治体は全国で約830あり、約15万人の在留外国人が、日本語を学びたくても簡単に日本語を学べない状態に置かれています。

 国は日本語教育の充実と日本語教員の質向上に向けて、新たな国家資格として「登録日本語教員」を創設しました。今年4月にスタートします。

 在留外国人の数が増え続けている中で、日本語教員として日本語を教える以外にも、英語の運用能力とともに日本語を教えるスキルを備えている人材が、ますます必要となってきます。


▲オープンキャンパスの体験授業から

 ■日本語を説明してみよう

 それでは2023年度のオープンキャンパスで、高校生を対象に行われた国際日本学科の体験授業をのぞいてみましょう。

 外国語学部の川光真二助教が「日本語を説明してみよう」をテーマに講義しました。

 川光助教は、ある留学生からの具体的な質問を紹介しました。

 「私〝は〟田中です」と「私〝が〟田中です」はどう違うのかという質問でした。

 「日本語を日常生活で使っているのであれば、何となく使い分けられるかもしれません。しかし、ゼロから日本語を学ぶ留学生にとってこれはとても難しいのです」と話したうえで「どう違うのか、皆さんは留学生に説明できますか?」と高校生に問い掛けました。

 高校生は首をひねります。

 川光助教は、教室で初めて先生と生徒が対面するシーンを提示して、「は」と「が」の用法の1つを説明しました。

 「名前を全く知らず、初めて会う場合、〝田中〟は新しい情報です。新しい情報には〝は〟を使います」

 「先生は名簿を持っていてそこに田中の名前が書いてある場合、〝田中〟は古い情報で〝私〟が新しい情報になります。この場合は〝が〟を使います」

 また、日本語学・日本語教育を学ぶ意義を3点挙げました。

 「日本語に関する基礎知識を身に付けることができる」

 「多文化共生の社会を築くために必要な知識と技能を身に付けることができる」

 「大学卒業後の選択肢が増える」

 授業の最後に川光助教は「日本語を教えることにぜひ興味を持ってください」と話していました。
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