南山大学の永田智成教授が「複雑怪奇なスペイン史」をテーマに講演しました/イベロアメリカ研究センター公開講座

 南山大学の永田智成教授が6月6日に開かれたイベロアメリカ研究センター公開講座で「私が面白いと思うスペインの歴史トピックス―複雑怪奇なスペイン史―」をテーマに講演しました。永田教授は「歴史が苦手な人にも興味をもってもらいたい」と、特に面白いと思われるトピックを取り上げるユニークな手法で、難解といわれているスペイン史をたどりました。


▲独自の視点でスペインの歴史をたどりました

 永田教授の専門分野はスペイン政治史、比較政治学で、「大学時代に〝民主化〟という現象に興味を持ち、独裁者を倒したら民主化するのかというテーマに取り組もうとスペインを選びました」と自己紹介しました。



 前半は、ローマ帝国時代から、イスラムとカトリックが共存したいわゆるレコンキスタの800年間を経て、スペイン王国の誕生、ハプスブルグ朝スペイン、スペイン継承戦争、米西戦争などをたどり、20世紀の2度の独裁体制までのスペイン史を概説しました。


▲20世紀の2度の独裁体制について触れました

 後半は独自のユニークな視点から5つのトピックを取り上げて、スペイン史の魅力を語りました。

 「日本の歴史は右肩上がりに発展している気がしますが、欧州史は一筋縄ではいかない発展をといえるかもしれません」と水道の歴史を例にして独自の歴史観を紹介しました。また、イスラムとカトリックが戦っていたイメージの強いレコンキスタについては「実際に800年間も戦い続けることはできません」とさまざまな事例を取り上げながらその実像について話しました。



 このほか、永田教授は「スペインはどこまでも王様が好きなんです」というトピックも提示しました。スペインでは多くの国王が亡命したり、追放されたりしていますが、そのたびに新しい王様を探し出してくるので「共和国になったのはこれまで2回だけです」と語りました。


▲「スペインはどこまでも王様が好きなんです」

 20世紀に40年近く独裁体制を続けたフランコについてのトピックは「〝カメレオン〟戦略」でした。ファシズム体制といわれたフランコの政治や外交をさまざまな視点から解説しながら「高度経済成長を遂げ、複雑な国際社会の荒波を乗り越えたとはいえ、約40年存続した理由は依然として研究対象です」と苦笑しながら話しました。



 永田教授は「スペイン史は複雑怪奇すぎて面白い。今回は中でも特に面白いと思うところをお話ししました」としてうえで「スペイン史に限らず歴史は面白いものです。本来暗記とは無関係なものです」と締めくくりました。

 
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