≪大学院にようこそ Vol.1≫「学部・大学院修士5年教育課程」が2025年度スタート/菊池清明教授に聞く

※関西外大通信「THE GAIDAI」318号の特集「大学院の新プログラム」を基にまとめています

≪大学院にようこそ Vol.2≫大学院目指す2人に聞きました/外国語学部英米語学科4年・冨永友香さん、同3年・守田陵汰さん

≪大学院にようこそ Vol.3≫ 大学院の研究とは何か/2024年3月博士後期課程を修了した川口尚毅さんが語ります

≪大学院にようこそ Vol.4≫ 金融行政・グローバル金融経済/出水博章・外国語学部教授

≪大学院にようこそ Vol.5≫ 国際人権法・比較憲法/福田和生・国際共生学部准教授


 関西外国語大学の大学院は2023年に開設50年を迎えました。半世紀の実績を踏まえて2025年度からコース制を見直すとともに、大学学部と大学院博士前期課程の5年間で修士が取得できる新プログラムを始めます。2025年度にスタートする新プログラムについて、大学院外国語学研究科長の菊池清明教授に聞きました。



 きくち・きよあき/関西外国語大学大学院外国語学研究科英語学専攻博士後期課程第1期生。大阪大学博士(言語文化)。東京都立大学・首都大学東京教授、オックスフォード大学英文科招聘研究員、オックスフォード大学ユニバーシティ・コッレジ上級客員研究員、立教大学教授を経て、2018年関西外国語大学教授。2024年4月から関西外国語大学大学院外国語学研究科長。


■2025年度にスタート

 新プログラムは、大学学部の4年間と大学院博士前期課程1年間の5年間で、学士と修士の学位取得を可能とするプログラムです。これまでは、修士を取得するために大学院に2年間在学する必要がありましたが、在学期間が1年間短縮されます。新プログラムは2024年に学部3年生を対象に履修者を募集し、2025年度からスタートする予定です。

 新プログラムにおいては、学部4年次に大学院博士前期課程の授業科目を科目等履修生として履修します(各学期上限10単位)。



 大学院へ入学前に科目等履修生として修得した単位は、15単位を上限として大学院における授業科目により修得したものとみなします。申込資格として、下記の①~③を満たすことが必要です。



■将来のキャリアパス形成へ

 このプログラムを通して、5年間で専門知識と研究能力、豊かな教養、国際性、社会の要請に応える実践力などを身に付けた大学院生に修士号を授与することによって、将来のキャリアパス形成につなげようとするものです。

 プログラム導入に合わせ、本学大学院は、英語、スペイン語、中国語などの言語を基軸として、文系・理系、専攻の枠を越えて、国際経済、グローバル金融行政、国際法、リスクマネジメント、外交史、日本語教育、日本文化、環境問題など、さまざまな分野のカリキュラムを提供する予定です。

 一部の講義は、国連、政府系金融機関、英米の名門大学で活躍した教授陣によって行われ、言語・教育のみならず幅広い分野で活躍できる国際的な人材育成を目指します。今後、ネイティブの先生による授業も含めて、オールイングリッシュの授業を増やす方針です。

■論文の書き方を学ぶ

 学部と大学院の違いは、大学院生は主体的に研究活動を行うことにあります。大学院においても教員が指導しますが、論文の書き方など実務的な事柄についてであり、研究の主体はあくまで大学院生です。

 大学院博士前期課程で大切なのは、論文の書き方を学ぶことです。いかに自分の考え方をまとめるか。論文の企画力、構成力、執筆力はあらゆる分野で役立ち、企業などからも求められます。

 大学院に行けば研究者になるとは限りません。大学院に対する狭隘な考えかたを持たず、幅広く考えてください。国際公務員などグローバルに活躍できる人材の育成は本学大学院の強みになるものと確信しています。

■低い日本の大学院進学率

 諸外国に比べ、日本では大学院への進学率が高くありません。企業経営者の最終学歴を日米で比較した調査によると、日本では学部卒83・7%に対し、大学院卒15・3%ですが、米国は学部卒32・0%に対し、大学院卒67・0%と、米国の大学院卒の割合は日本の4倍以上と高くなっています。





 また、米国連邦政府における上級管理職の学歴に関する調査によると、約60%が修士号以上の学位を取得しているとの結果が出ています。

 日本の若者がグローバルに活躍するためには、修士号取得者をさらに増やす必要があると考えています。

■国際的な環境を大いに活用

 本学には海外から招聘した教員が多数教鞭を取り、また数多くの留学生が在籍しており、外国語能力を伸ばす環境に恵まれています。本学のこうした国際的な教育・研究環境を大いに活用して、世界に羽ばたこうとする熱意ある学生が集うことを期待しています。






 
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