≪外大人≫ 近都有沙さん(堀場製作所、外国語学部2018年卒)/グローバルに人と人をつなぐ架け橋を目指して

※関西外大通信318号の連載企画・第一線で活躍する卒業生にインタビュー「外大人Vol.29」の記事を基にまとめています

 近都さんは、1995年に兵庫県小野市に生まれました。関西外国語大学短期大学部を経て、2018年に関西外国語大学外国語学部英米語学科を卒業しました。同年に堀場製作所に入社し、現在は秘書室秘書チームに所属しています。



■社是に惹かれて

 京都市に本社を置く堀場製作所の社是は「おもしろおかしく」。日常生活だけではなく、仕事そのものを「おもしろおかしく」充実させようという意味が込められています。そのフレーズに惹かれて入社しました。

 期待にたがわず、社風はユニークでした。海外拠点が多い、分析・計測機器の総合メーカーというお堅いイメージでしたが、社内では、堀場厚会長は「ホリさん」、齊藤壽一副会長は「サイトさん」と呼ばれています。管理職や役員につく片仮名の通称は社内のアドレスブックに記載されています。

 毎月、その月に生まれた社員が一堂に会して誕生会が開催されます。管理職は顔を出さず、役員がホスト役となって社員と互いに思いを伝えあう場になっています。「社是は海外で Joy & Fun と訳され、企業文化が浸透しており、全体的に風通しが良くアットホームな社風です。初対面の目上の人でも通称で呼べるとコミュニケーションが取りやすくなります」と話します。

 入社1年目に秘書室秘書チームに配属されて7年目。現在は副会長担当として、スケジュール調整から出張の手配、来客対応、経費の処理などの日常業務をこなすほか、役員全体の会議や行事への対応にもあたっています。「すべての業務において、ミスが許されない緊張感のある仕事ですが、社内外、国内外のさまざまな方々とコミュニケーションをとる機会が多く、楽しみながらやっています」とほほ笑みます。


▲社是と共に

■「日仏クラブ」総会に携わる

 役員が所属する社外団体の事務を担当することもあり、やりがいを感じるといいます。その一つが、日本とフランスの企業トップでつくる「日仏クラブ」です。両国の企業30社ずつ60社が加入し、総会が年1回、東京とパリで交互に開催されます。

 第31回総会が2022年に初めて京都市で開かれ、堀場厚会長が議長を務めた際は、準備に携わりました。「経営者たちの関心事、国際情勢などを踏まえ、役員と相談しながらテーマを設定しました。ビジネスの最前線にいる経営者の声を身近で聞ける貴重な経験になりました」と振り返ります。

 京都の魅力を味わってもらおうと、プログラムにも工夫を凝らしました。地元の学生に生け花を披露してもらったり、香を焚いたり、裏千家の茶室へ参加者を案内したり。滋賀県にある自社工場に茶室があることから始めた茶道や書道の経験がこの時に生きました。「趣味と重なり合う部分もあってやりがいを感じ、国際的なプロトコールの勉強にもなりました」

 勤務先は世界各地に拠点が広がっています。従業員数は日本より海外の割合が高く、海外からの来客も多くいます。語学力をさらに磨き、文化や歴史に関する知見を広め、グローバルに人と人をつなぐ懸け橋になるのが目標です。


▲京都市で開かれた日仏クラブ総会(中央の立ち姿の左)

■豪州でボランティア体験

 関西外国語大学短期大学部から、「さらに勉強を続けたい」と外国語学部英米語学科に3年次編入学しました。

 「学生時代にしかできず、人のためになることをしたい」と、オーストラリアで3週間、環境保全の海外ボランティア活動を経験しました。山奥の小屋で、オーストラリア、スイス、台湾などからの参加者10人程と泊まり込み、動物にとって有害な植物の除去、餌となる木の植林にひたすら取り組みました。電気、水、日用品の使用が制限される過酷な環境の中での共同生活は、習慣や価値観の違いを学ぶ得難い場となり、そこで仲良くなった台湾の友人とは今も交流が続いています。

 大学時代に履修したホスピタリティ、エアライン、ホテル業界、秘書業務に関する授業が今の仕事に役立っていると感じています。教員の中に、企業の出身者が少なからずいたことで、授業で各業界の体験談を聞くことができました。今の自分に重なる部分もあり、仕事の糧にしているといいます。


▲役員会議の合い間の書道講座で(前列左から2人目)

■就職活動は視野を広く

 就職活動では、業界や職種にこだわらず、視野を広くして説明会やインターンに参加したことが良かったと思っています。「会社全体の方針や雰囲気を重視しました。業界を絞っていたら、理系出身者が多い今の職場にたどり着かなかったかもしれません」

 自らの体験から、「国内外のいろいろな場所に足を運び、異文化に触れ、さまざまな人と関わる体験をしてほしい」と学生に呼びかけています。多くの人と関わることで自身について話す機会が増え、自分がいる環境を客観視できます。そうすれば、身の周りに興味が湧き、学ぶ機会につながるのではないかと考えています。


▲海外のグループ会社役員と

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