≪Laos Study Tour REPORT≫国際共生学部2年 中村美幸さん Vol.2/あっという間にメモで埋まったノート

 「Experiential Learning」を通してオールイングリッシュで学んでいる国際共生学部の2年生が2024年6月、スタディーツアーでラオスを訪れました。参加した外大生は何を見て、何を聴き、何を感じて、何を考えたのかレポートします。

 ラオスへのスタディーツアーを経験して「人生で初めての体験」「脳みそが入れ替わった」と話してくれた中村さん。特に開発途上国に関心があったわけではありません。途上国の人たちを支援したいという熱い思いを持っていたわけでもありません。

 「国際協力や途上国と関わることはずっとないだろうと思っていました。今行っておかないと、ラオスに行くことなんて一生ないなと思って参加しました」と苦笑しました。12日間で何が起こったのでしょうか。

 最高裁判所や最高検察庁、JICA(国際協力機構)やUSA国際開発庁というように、到着直後からさまざまな機関や団体を次々と訪ねるハードなスケジュールでした。中村さんは「国連機関やNGOなんで一生かかわることがないと思っていただけに、〝自分も頑張ればこんな仕事ができるのではないか〟と身近に思えるようになりました」と振り返りました。


USAIDで(右端が中村さん)

 そして「どこも一見しただけでは、全く違うことをやっているように見えます。しかし、じっくり話を聴いて自分なりに考えていると、どこかでつながっていることがわかってきました」と話します。

 訪問先で聴く話は衝撃的なものばかりでした。しかしそれ以上に中村さんに衝撃を与えたのは、自分の目の前に広がるラオスそのものでした。目にする町並みも、道路も、露店も、人も、音も、臭いもすべてがストレートに中村さんに突き刺さってきました。

 移動するためにタクシーシェアアプリでタクシーを呼んだときのことです。なんとやって来たタクシーは高級車のテスラでした。延々と続くでこぼこの未舗装の道を、ものすごい土煙を上げてテスラは走りました。相反するようなものが共存する世界でした。とてつもない違和感に包まれた中村さんは、夢中で動画撮影していました。

 「ラオスはアジアの最貧国だがホームレスがいない」という話を聞きました。確かに街中でホームレスらしき人を見ません。「豊かな国と言われている米国にはたくさんのホームレスがいる。本当の貧困って何だろう」と中村さんは考え込んでしまいました。


▲EU代表部で(左端が中村さん)

 中村さんが訪問先で必ず質問したことが一つありました。

 「ラオスを発展させるために環境が壊されている。経済の発展と環境を守ることのバランスはどのようにとるべきだと思うか」

 「自然資源を観光資源として使えないか」「カーボンクレジットを上手に利用できないか」といった答えが返ってきました。もちろん、そう簡単に答えが見つかるわけではありません。しかし、「自分なりの意見を持つきっかけにするため、一人でも多くの人の意見を聴きたい」と質問を続けました。

 「途上国の窮状や課題を聞くだけならZoomで十分。でも実際に現地に行って、自分の目で見て、耳で聞いて、体で感じなければ分からないことはたくさんあります」と話し「ラオスの人が本当に困っていることや、私たちが本当に課題にしなければならないことは、ラオスにいなければ分かりません」と断言します。

 中村さんは日本から持っていったノートはあっという間にメモで埋まってしまいました。


なかむら・みゆき/山梨県出身。山梨学院高校卒業後、2023年に関西外大国際共生学部に入学した。福田和生准教授のインフォーマルゼミ(研究会)に所属し、ラオスへのスタディーツアーに参加した。


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