≪Sweden Study Abroad REPORT≫清水鈴さん(外国語学部英米語学科2024年8月卒)Vol.3/外大で培ったチャレンジ精神と情熱
▲留学したリンネ大学のあるカルマルの幻想的な冬です
■逆風の中で始まった大学生活
スウェーデンへの留学で一段と成長を実感した清水さんですが、大学生活は決して順風満帆でスタートしたわけではありませんでした。〝新型コロナウイルスの世界的パンデミック〟という猛烈な逆風の中で始まりました。
2020年4月に外国語学部英米語学科に入学した清水さんには、入学式はなく、キャンパスは入構禁止となり、授業はすべてオンライン配信になりました。「思い描いていた大学生活にはほど遠く、自宅が教室、ベッドが机、パジャマが学びのお供でした」と振り返りました。
海外留学どころか、キャンパスに足を踏み入れることすらままならない状況の中で、閉塞感がばかりが募りました。行き詰りかけた生活を打破してくれたのが、高校生向けのオンラインイベントの活動に参加したことでした。コロナ禍で身動きが取れない受験生に、外大のすばらしさを紹介しようとスタートしたイベントにスタッフとして参加、3000人以上の高校生が集まってくれました。
▲留学したリンネ大学のあるカルマルの幻想的な夏です
清水さんは「この先駆的なプロジェクトはチャレンジの連続でしたが、新しいことに挑戦する情熱に火をつけてくれました」と振り返ります。2年間のスウェーデン留学への挑戦も、Erasmus Student Networkの会長への挑戦も、スウェーデンで新たな留学生プロジェクトに次々と取り組んだ挑戦も、関西外大で培ったチャレンジ精神と情熱がすべての原動力になってくれました。
■優秀卒業論文にノミネート
清水さんがまるで、イベントまみれの留学生活を送っていたかのように誤解されるかもしれません。しかし、そんなことは決してありません。
学校のある日は、朝から夕方までレクチャーやグループワークでぎっしり埋まります。日本の大学とは少し様相が異なります。「教えてもらう」のではなく「自ら学びにいく」というスタイルですから、少し気を緩めるとたちまち置いていかれます。置いていかれても誰も助けてくれません。
▲リンネ大学の卒業式でクラスメイトと(右端が清水さん)
基本的に1度に履修するクラスは1科目で、授業期間は1~2カ月です。レクチャーへの参加は自由です。しかし、成績はレクチャーの内容を元にしたグループワークとテストで全て決まってしまうので、やはりレクチャーへの参加は必須です。インターナショナルビジネス(国際ビジネス)を専攻していた清水さんは、統計学、国際法、セールスなどさまざまな授業を履修しました。
スウェーデンの留学先で書いた卒業論文は、2年間の学びを活かして「コロナ禍における海外セールスマンの燃え尽き症候群」について調査しました。最優秀賞には惜しくも届きませんでしたが、優秀卒業論文としてノミネートをされました。
▲クラスメイトと〝すしパーティー〟を開きました
■日本のこたつを売ろう!
また、履修科目の一つであったマーケティングのクラスのグループワークで「スウェーデンで日本のこたつを売ろう」と提案したことがありました。冬が長く、寒さが厳しいスウェーデンで、家族や友だちと温かいひとときをすごすアイテムとして人気が出るのではないかと考えました。「本当に売れるのではないか」との教授の後押しがあり、グループワークのメンバーとともにビジネスとして挑戦することを決めました。
コンサルタントのアドバイスを受けながら、ビジネス案をつくり、プロトタイプ(試作モデル)の作製まで手掛けましたが、時間切れで販売は実現できませんでした。清水さんは「学校の授業を生かした実践的な経験でした」と話しています。
さまざまな国や地域から来た人たちと交流を深める中で、日本語や日本の文化を知ってもらいたいとの思いが強くなりました。地元の高校に日本語クラスがあり、2ヶ月に1回のペースでボランティアとして日本語クラスを訪問しました。また、日本語を学ぶ学生が発表する「日本の夕べ」というイベントで手づくりの日本のお弁当を振る舞って、日本を身近に感じてもらえるように取り組みました。
▲高校のボランティアで「お弁当」づくりをしました
関西外大とコラボして、スウェーデンの学生に実際に日本へ来てもらうきっかけづくりにも取り組みました。日本への留学やインターンシップに興味のあるスウェーデンの学生を対象に、外大とのコラボでプロモーションイベント「Study in Japan」を開くなど、スウェーデンと日本の〝架け橋〟となるイベントを開催しました。
▲外大とコラボして開催したStudy Japan(右から3人目が清水さん)
■挑戦したいと思ったらまず一歩
スウェーデンでの2年間を振り返って清水さんは「さまざまなチャレンジングなことに挑戦しようと思う根元には、いつも悔しさがあったような気がします」と言葉をかみしめます。「高校でアメリカに留学をした時はとにかく英語が話せなくて、周りにバカにされると自信をなくしてしまいました。留学に行ったものの何にも挑戦することができませんでした」と以前の体験を思い起こしつつ「そんな悔しさが後に挑戦に迷った時、自分の背中を押してくれたんだと思います」と話しました。
そして、海外への留学を考えている外大生や、留学を夢見ている高校生に向けて、こんなメッセージを送ります。
「私自身の経験で言えることは〝やらない後悔はやった後悔よりもずっと長く引きづる〟ということです。やってみて失敗しても、そこには必ず学ぶことがあって挑戦した自分に自信を持つことができます。だからこそ挑戦したいという気持ちがあるなら、ぜひその気持ちを大切に、一歩を踏み出してみてください」
▲リンネ大学の卒業式でクラスメイトとの記念写真です
しみず・すず/兵庫県出身。兵庫県立宝塚北高校卒業後、2020年4月に関西外国語大学に入学した。スウェーデンのリンネ大学に2年間留学し、両大学の学位を取得して2024年8月に卒業した。
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