「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア=マルケス著)などスペイン語圏の文学について、翻訳家で元神戸市外国語大学学長の木村榮一氏が講演しました-関西外国語大学イベロアメリカ研究センター連続公開講座

関西外国語大学の連続公開講座「魔術的リアリズムの国、南米コロンビアの魅力を知る」の第3回講座が1126日、中宮キャンパスマルチメディアホールで開かれました。最終回の今回は、元神戸市外国語大学学長で、スペイン・イベロアメリカ文学翻訳家の木村榮一氏が、「魔術的リアリズム作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの作品と波乱に富んだ人生」をテーマに講演をしました。

 
▲講演をする木村榮一氏

木村氏は、これまでに49作の翻訳を手掛けており、研究と翻訳の経験を基に話を進めました。コロンビア出身で、1982年にノーベル文学賞を受賞したガルシア=マルケスを中心に、フリオ・コルサタル(アルゼンチン)、フアン・ルルフォ(メキシコ)、ホセ・ドノソ(チリ)ら20世紀半ばから後半にかけて、ブームを巻き起こした作家を広く紹介しました。

 特に「百年の孤独」や「族長の秋」で知られるガルシア=マルケスについては、「作品は幻想と理解しながらもリアリティを感じさせ、我々は彼の世界に引き込まれる」と評価したうえで、「貧困から身を起こし、『百年の孤独』のヒットで莫大な富を得ても、創作に対する姿勢は全く変わらないすごさがある」と解説しました。

連続講座は、スペイン語圏の国や地域を広く研究する、本学の「イベロアメリカ研究センター」(センター長、林美智代・外国語学部教授)の主催で、今回の参加者のなかには、木村氏の教え子をはじめ、元関西外国語大学教授・理事の山田善郎氏らの姿も見られました。

 
▲(前列右から)木村榮一氏、山田善郎氏、(後列右から)林センター長、谷本榮子理事長、福嶋教授

講演の後には、福嶋寛・外国語学部教授の司会で質疑応答があり、会場内ばかりでなくスペインでオンライン受講をした参加者からも質問が寄せられました。質問は文学や研究に関する内容ばかりでなく、「翻訳家として心掛けていること」などについて、スペイン在住者からも問い合わせがありました。

 
▲翻訳した本にサインをする木村氏(中央)

会の終わりには、会場の受講者も加わった記念撮影のほか、木村氏が翻訳した本にサインをするなど、和やかな雰囲気のなかで幕を閉じました。


▲会場の皆さんと。終始和やかな雰囲気で幕を閉じました

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