≪Study Abroad REPORT≫ オランダ・ハーグ応用科学大学Vol.6/外国語学部英米語学科3年 守田陵汰さん/初のテスト期間を乗り越えて

 今回は留学先での期末テストについてレポートします。 オランダの大学でのテストは一般的なペーパーテストは少なく、「口述試験」と呼ばれるオーラルエグザムやプレゼンテーション、さらにはグループプロジェクトが評価の中心となっています。学業だけでなく自分のコミュニケーション力や適応力を試される場でもありました。

 
▲テストの息抜きに友人とクリスチャンパーティーに参加しました(左端が守田さん)

 中でも印象的だったのは、5人ほどのグループで取り組んだプロジェクトです。 どのメンバーも基本的には意欲的なのですが、どうしても「フリーライダー」的な人が出てしまうことがありました。

  フリーライダーとは、チーム全体の成果に対してほとんど貢献せず、その恩恵だけを受け取る人を指します。 ただ、それを日本的な「不公平」として捉えるのではなく、むしろ文化の違いの一例として受け入れるようにしました。

  例えば、彼らにとっては「自分のペースを大切にしながら作業を進める」ことが自然であり、それが彼らの文化や価値観の一部なのかもしれないと考えました。 このような視点を持つことで、相手を責めるのではなく、むしろ異なる文化に触れる貴重な経験として受け止めることができました。

 
▲グループプロジェクトに取り組んでいます

 グループプロジェクトでは国民性の違いが顕著に表れる瞬間がありました。 例えばブラジルでは、協力の仕方として「自分が働ける時は積極的に貢献し、働けない時には他の人に助けてもらう」という助け合いの精神が重視されていることを知りました。

 また、締切が迫っているタイミングで旅行に行くメンバーがいました。日本では考えにくい状況も経験しましたが、「楽しむときは思い切り楽しむ」というライフスタイルに触れることで、異文化の価値観を新たに学ぶきっかけとなりました。

 こうしたグループプロジェクトだけでなく、個人プレゼンテーションやオーラルエグザムでも、多くの新しい挑戦がありました。

 
▲オランダの文化を学ぶクラスでの課題は、オランダ人作家、ヨゼフ・イスラエルスの絵画「Peasant family at the table」の実写化でした

 試験官の予想外の質問に即座に対応する必要がある場面では、自分の準備不足を痛感すると同時に、その場で考えを組み立てて伝えるスキルが徐々に身についていくのを感じました。 AIの進化により、こうした即座に対応できる思考力や対話力がさらに重要になっていることを実感する瞬間でもありました。

 初めての留学中のテスト期間は決して楽なものではありませんでした。しかし、仲間たちと協力して課題を進める中で、多様な価値観やアプローチに触れることができました。さまざまな国籍の人が集まる中で協力していくことは大変ですが、それぞれの文化や視点を尊重しながら共通の目標に向かって進む過程は、とても楽しいものです。そして、自分自身を大きく成長させてくれるものでもあると感じています。

もりた・りょうた/徳島県出身。高校2年までは化学と数学が得意で薬剤師を目指していた。徳島県立城南高校を卒業し、2022年に関西外国語大学入学。2024年8月からオランダ・ハーグ応用科学大学で留学生活を送っている

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