「国際機関で働くこととは」 本学OBの木村泰政・ユニセフ東京事務所代表が講演

 社会の第一線で活躍する本学出身の先輩を講師に招き、現在の仕事や学生時代などを語ってもらう「エグゼクティブセミナー」が11月9日、中宮キャンパスのマルチメディアホールで開かれました。今回はユニセフ(国連児童基金)東京事務所代表の木村泰政氏が「国際機関で働くとはどんなことか」を中心に講演しました。
 

 

▲ユニセフの役割などについて講演する木村泰政・東京事務所代表

 

 木村氏は、1992年外国語学部英米語学科卒業。1997年からユニセフでの勤務が始まり、ニューヨーク本部などで勤務のあと2016年5月から東京事務所代表に就任しました。「大学卒業後、27年ぶりに帰ってきました。充実した施設にびっくりしました」と第一声のあと、ユニセフの役割を映像で紹介しました。続いて「子どもの生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」など、子どもの権利条約(CRC)について説明。その権利を守るために、保健、HIV/エイズ、水と衛生、子どもの保護などを重点分野に置いていると話しました。

 

ユニセフの一連の活動を紹介したあと、ユニセフの雇用条件、雇用プロセスとして関連分野の修士号以上の学位、職務経験を必要とし、さらにインターンシップや国連ボランティア(UNV)への参加の道などが紹介されました。また、国際機関勤務を志望する学生には▷大学時代に多くの人に会って、多くの経験を積む▷どうして国際機関に興味をもったのかを真剣に考える▷語学力を身につける、さらにもう1カ国語を修得するとなおよい▷ボランティア、インターンシップを開発途上国で経験するとよい▷国連では新卒採用がないため、応募条件に達するまでいくつかの転職経験をすること―など、目的意識を持って活動してほしいと話しました。

 

自身の外大時代にも触れ、「在学中は、セミナーハウスで留学生とともに生活しました。日本人は入居試験に受かった4人だけが入れました。始めは英語が苦手でしたが、ともに生活するなかで英語の怖さはなくなり、交換留学に行くことができました」と振り返りました。最後に、シリアの少女からの「みんなが幸せになりますように」とのメッセージが流され、木村氏は「少女の希望が絶望にならないよう、みなさんも頑張ってください」と結びました。

 

 講演後、多くの学生から質問が飛び「貧困の子どもを教育の場に向かわせるにはどうすればよいですか」との質問に木村氏は「村の影響力がある人(宗教者など)に教育の重要性を教えることが必要」などと答えていました。
 



 

▲多くの学生の質問に丁寧に答える木村氏(上下とも)

 

 木村氏は、講演を前に谷本榮子理事長を表敬。片鉾キャンパスを卒業後、初めて中宮キャンパスを訪れたという木村氏は「(中宮の)立派なキャンパスにびっくりしました。私は、この大学から留学できたことが今の仕事に生かされています」と話すと、谷本理事長は「大学は、こんなに大きくなりました。来年には、近くに新しい(御殿山)キャンパスが開学します」と現状を説明。片鉾の懐かしい話に花を咲かせていました。
 

 

▲谷本榮子理事長と片鉾キャンパスの話題で話が弾む木村氏

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