公立大学法人 国際教養大の鈴木典比古理事長・学長 FD講演会で講演 「世界の大学の動きと日本の大学の進むべき方向」

 ユニークな取り組みで有名な公立大学法人・国際教養大学(AIU、秋田市)の鈴木典比古理事長・学長が910日、中宮キャンパスの多目的ルームで、第8FD講演会の講師として「世界の大学の動きと日本の大学の進むべき方向」をテーマに、大学の現状分析と未来の姿について話しました。


▲講演する鈴木典比古・AIU学長
 

 鈴木学長はまず、日本の大学教育(「教育財」と表現)の進展を、専門の経営学の観点から分析。実際の経済活動を示す「物的財」を巡っては、1950年代の国内生産から、70年代までの輸出・輸入へ、2000年までには海外への直接投資に移り、現在ではグローバルな展開という劇的な変化があったとしました。比べて教育財の進展は2030年のタイムラグがあると説明しました。


 また、日本では18歳人口の減少が問題になる一方、世界では大学生数が毎年5%増で、これに伴い留学生数も増え、現在、600万人を超えていると紹介しました。

 一方で、米国の大学教育では、講義がオンラインで同時配信されるMOOCs(Massive Open Online Courses)と呼ばれる方式にシフトし始めていると解説。MOOCsを導入するには、教育内容・レベルの世界標準化▽統一使用言語の選定▽キャンパス・コミュニティの創造方法▽国ごとの教育に対する考え方―という課題をクリアする必要があると指摘しました。

 鈴木学長は「国が固有の価値を保つということは、多様性の保存に必要なことです。その際、機能的、理性的なナショナリズムが反映されねばなりません。また、教育は知識を伝えるだけでなく、共同体の体験などがどうしても必要な要素です。その意味で、オンラインで知識を得るだけが教育ではないと思います」と話していました。 


▲聴講希望者で満員となった講演会場の多目的ルーム

 最後の質疑応答では、さまざまな点でユニークなAIUの在り方に質問が及びました。
 なぜ、秋田の郊外にある大学で、多くの志願者があるのか という質問には、「日本では大学と言うと都会にありますが、米国では大学はそんなに大きくない都市近郊や郊外にあります。そこからすると、秋田の郊外でも違和感はないのです」などと、ひとつ一つの質問に、真摯に丁寧に答えていました。


▲質問に聞き入る鈴木学長
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