「サービス・ホスピタリティ業界のリーダー育成プログラム」開講記念し講演会とプレス発表

 今年9月から新たに始まった「サービス・ホスピタリティ業界のリーダー育成プログラム」の開講を記念する講演会が11月27日、中宮キャンパス・ICCで開かれ、アメリカから招いたゲストスピーカー3人が業界の現状やホスピタリティ教育の必要性について話しました。講演会に先立ち、プログラムについてプレス発表会が開かれ、新聞、テレビ、出版など約20社の50人が参加しました。


▲プレス発表に臨む(右から)ハース氏、ザーカー教授、カストラティ氏、川上氏

 プレス発表会では、留学生別科長のスティーブン・ザーカー教授がプログラムの概要を説明しました。プログラムは観光業界をめざす学生が指定科目を英語で受講し、国内インターンシップと海外留学、海外でのインターンシップを行うことで、海外のホテルなどで就労可能な英語力と知識を身につけ、ホテル業界のリーダーとなる人材を育成するもので、今学期は31人が受講しています。

 会見にはハワイでツーリズムに関わってきたマーケティング・マネジメント社のフランク・ハース社長、世界で統合型リゾート(IR)を手がけるMGMリゾーツ・インターナショナルのアリ・カストラティF&B飲食部門責任者、日本MGMリゾーツの川上次郎社長補佐が出席しました。


 ザーカー教授はプログラムを始めたきっかけについて、自身が所属する在日米国商工会議所で「日本ではホスピタリティ業界のリーダーになる人材がいない」と議論になったことを受け、リーダーに必要な英語力、異文化経験、知識を養成するうえで関西外大には基礎があり、プログラムを立ち上げたと述べました。2025年に大阪で開催することが決まった万博との関わりについて、「関西の知名度を高めるメリットがあり、長期的視点で万博は追い風になる」と回答しました。


▲ホスピタリティの複雑化について話すハース氏

 講演会は、ハース氏、カストラティ氏、原忠之・米セントラルフロリダ大学准教授の順で行いました。ハース氏はホスピタリティの複雑化、需要の高まりに伴う、ホスピタリティ教育の必要性について話しました。

 国連世界観光機関(UNWTO)が出している数字を用いて、グローバルツーリズムの成長について説明し、「ホスピタリティ業界は、成長が見込まれます。そして、より複雑になります。人の管理や分析が出来るようなプロの教育を受けた人が必要になります」と話しました。

 「人と仕事をし、人の笑顔を見るのが好きな人には適職です」として、アルベルト・アインシュタインの言葉「他人のために尽くす人生こそ、価値ある人生だ」で締めくくりました。


▲日本の観光は日本人が主導すべきと語るカストラティ氏

 カストラティ氏は「統合型リゾート(IR)が日本のホスピタリティ産業にもたらすインパクト」と題した講演で、「日本の観光業にとって何が大事か」と問いを投げかけました。知り合った日本人経営者の例を挙げながら、「日本ではほとんどの施設の経営者が欧米人だが、日本人がやらなければいけない。IRも同じ」と述べ、日本人が主導的役割を担うことが重要だと説きました。

 また、同社がめざす日本への進出に関し、「世界有数のIRを提案している。従業員1万人のうち3000人がマネジャーだ」として、管理職の人材の必要性を上げ、本学のプログラムのスタートを歓迎しました。


▲外貨を稼ぐ観光業の重要性を指摘する原氏

 原准教授は「輸出の力が落ちて、しかも少子高齢化です。そのなかで外貨を稼ぐ方法は産業としての観光なんです。観光では人件費、労働力の占める度合いが大きい。日本でオペレーションすれば、恩恵は日本に落ちます。外資でも同じ。ただ、最も求められる人材の中間管理職は、英語で働けて財務諸表を読むことができるなど経営知識が必要です」と述べ、観光学とホスピタリティ経営学の違いを解説しました。

 その上で原准教授は「関西外大の今回のプログラムはその人材育成の課題に対する解決策を政府に提示したといえ、非常に重要なことだと思います」と話していました。


▲参加者や受講者が参加して行われた情報交換会

 講演会の後、参加者による情報交換会が開かれました。プログラム受講生の松村拓海さんは「世界で活躍されている有名な方々のお話が聞けてよかった。ホスピタリティを通してサービスがどれだけ重要なことかを知ることが出来たことはよかったです」と言い、同じく受講生の橋冨アクアさんは「きょうのお話を聞いて、習っているプログラムがツーリズムにおいても、重要な立ち位置にあるのだと実感しました」と話していました。
 
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