人権問題学習会 ヒューライツ大阪の朴君愛さんが国際的な人権基準について講演

 人権教育思想研究委員会の第11回人権問題学習会が11月30日、中宮キャンパス・ICCで開かれ、一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪、大阪市西区)上席研究員の朴君愛(パク・クネ)さんが「国際的な人権の基準からみた多文化共生の視点」をテーマに講演しました。学生と教職員約50人が出席しました。


▲人権問題学習会で講演する朴君愛さん

 朴さんは大阪生まれの在日コリアン3世で韓国籍。かつては差別を恐れて日本名を名乗っていたが、20代で人権運動に関わる日本人に出会ったことで、「人生が大逆転した。自分の権利を守ることを学び、勇気をもって本名を名乗るようになった」と自己紹介しました。

 国際的な人権の基準について、「国ごとに基準があるのではなく、いつでもどこでも誰でも人間がもっている権利がある」と述べ、1948年に採択された世界人権宣言と、それを踏まえた二つの条約である社会権規約と自由権規約の重要性を指摘しました。国内では条約は法律より上位に位置づけられるため、人権条約に加わったことで日本の人権関連法の整備が進み、「日本にいる外国人の人権は向上した」と話し、国際人権条約のインパクトと呼びました。

 現在、関心がある問題として、「マイノリティ女性」(在日コリアンで女性であること)を挙げ、自分たちの存在を可視化し、人権保障を求める活動などを取り上げました。また、女性差別撤廃条約を受けた政府の履行状況のチェックや国連に対する働きかけの取り組みが紹介されました。

 朴さんは、多文化共生の実現に必要な視点として、「人は一人ひとりが違う個性。しかし権利において平等であることを確信する」「在日コリアンを含めマイノリティ集団は社会の中ですでに不利な位置にいる。ただ、存在を認め合うだけでいいのか」「あまりに国単位で人を見る発想に陥っていないか」「『文化』は人が出会ってつくられてきたもの。文化は変容する」「人権にふさわしい文化を育てる努力が肝要」の5点を提示しました。
 
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