人権問題学習会 大阪企業人権協議会の堀井悟さんがLGBTについて講演

 人権教育思想研究委員会の第12回人権問題学習会が11月29日、中宮キャンパス・ICCで開かれ、大阪企業人権協議会専任講師の堀井悟さんが「LGBT(性的マイノリティ)の人権」をテーマに講演しました。学生や教職員約60人が熱心に聴講しました。


▲LGBTについて講演する堀井悟さん

 堀井さんは、人権問題は「人間学」であり、「まずは、自分の無知や無自覚、無関心、偏見に気づいてほしい」と伝え、自分と違う人たちの事を知らないという〝恐怖感〟が、困っている人たちへの批判や見て見ぬふりという行動につながると説明しました。「人権とは、人として幸せに生きる権利」であり、差別するだけでなく傍観の立場であっても差別に加担しているといい、「差別に中立的な立場はない」と強調。無関心であったことに気づくことが大切と話しました。


▲参加者に質問を投げかける堀井さん

 今回のテーマ「LGBT」の定義について、参加者に質問を投げかけながら「性は多様」であると分かりやすく説明しました。そして、日本の人口の8%がLGBTで13人に1人の割合であると示し、「誰にも言えず苦しんでいる人が多く、LGBT特有の課題やさまざまな社会問題がある」と指摘。さらに、同性愛の歴史やLGBTに対する各国の環境の違いを解説しました。

 続いて、日本企業のLGBTに対する認識や対応について言及し、いまだ差別や偏見が存在するのは、学校で同性愛について習っていないなどの人権教育の不足としました。しかし、LGBTを支援する企業は増加傾向で、「世の中は変化しています」と続けました。
 また、国や行政のLGBT支援も進んでいることを説明し、企業もLGBTへの取り組みが必要としました。LGBT市場は有望で、日本で年間6兆円、世界で100兆円規模といわれており、企業の取り組みにも影響を与え、従業員および顧客・投資家への対応にも変化が生じています。「支援体制を作り、制度や意識を変えていくことが大切です」
 東京五輪・パラリンピック開催で、世界から注目される日本。LGBTに対する知識と理解を深め、「知ったからには責任があることを自覚し、一人一人が小さな変化を起こし、伝えていってください」と訴えました。


▲堀井さんの講演に耳を傾ける学生たち

LGBT(性的少数者)Lesbian(レズビアン、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)の頭文字を組み合わせた表現。

 
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