STUDY ABROAD REPORT 留学レポート
≪Laos Study Tour REPORT≫国際共生学部2年 兼本千陽さん Vol.1/よく分からない涙がこみ上げた
「Experiential Learning」を通してオールイングリッシュで学んでいる国際共生学部の2年生が2024年6月、スタディーツアーでラオスを訪れました。参加した外大生は何を見て、何を聴き、何を感じて、何を考えたのかレポートします。
▲ラオスの最高裁判所のSNSでもスタディーツアーが取り上げられました
兼本千陽さんは中学時代、海外から来た中学生と交流する機会がありました。「英語でコミュニケーションを取るのは本当に楽しい」と感じたのをきっかけに「英語を極めたい」「英語以外のことも学びたい」と考えるようになり、関西外大に入学しました。
ただ今回のラオススタディーツアーには、確固としたテーマを掲げて参加したわけではありません。「強いて言えばジェンダーでしょうか」という兼本さんは、UNFPA(国連人口基金)を訪問したい機関に挙げましたが、何となくあいまいなままでの参加になりました。
ところが、ラオスでの活動の3日目の夕食時。〝よくわからない涙〟がこみ上げて止まらなくなりました。「あまりにも考えることが多過ぎたのでしょうか。自分の中で消化しきれなかったのかもしれません」と思い起こし「あのときは、これから残りの10日足らずをどうしたらいいのだろう、どうなるのだろうと不安になりました」と苦笑しました。
▲「ラオス3日目で〝よくわからない涙〟がこみ上げました」と話す兼本さん
〝よく分からない涙〟がこみ上げた前日のことです。ラオスの計画投資省の(MPI)の職員と食事をしました。食事をしながらの懇談の話題は「公務員の給与」になりました。
計画投資省は公共投資事業の運営・管理や外国への投資を監督する官庁です。ラオスの公務員の給与は決して高額ではありません。技術や能力があれば、海外に出て高い給与を手にする手立てはいくらでもあります。今考えるとぶしつけですが「給料が高くなくても今の仕事を続けていくことができるのはなぜか」という話になりました。
この職員は「Challenging」という言葉を使って、難しい仕事ばかりだがやりがいがある点を強調しました。そして、こんな答えが返ってきたことを今でもはっきりと覚えています。
「ここは私の国だから」
兼本さんは「とてもシンプルだけれど忘れられないことばになりました」とかみしめるように繰り返します。「自分の国に誇りを持っていました。そして次の世代のことをしっかりと考えていました。感動しました」。
▲計画投資省の職員と食事をとりながらさまざまな話を聴くことができました(左から4人目が兼本さん)
兼本さんは、生まれ育った地域はもちろんのこと、日本国内で活気がなくなり過疎化が進む地域を何とか盛り上げたいと、「地元の活性化」「地方の創生」「地域起こし」に関心がありました。「将来の目標につながらないだろうか」とぼんやり考えた時期もありました。ただ、ラオスのスタディーツアーに参加しようと決めたときは「ラオスと日本の地方創生なんて、全然関係ない」と思っていました。
しかし、よく考えてみると「ここは私の国だから」というラオスの公務員の言葉と、「ここは私の地元だから」という兼本さん自身の思いとは、どこかでつながっています。「自分の国のために何ができるのか」とのラオスの人の思いと「自分の地元のために何ができるのか」という兼本さんの思いはきれいに重なっているように思いました。
ラオスでは若くて優秀な人材が海外に流出していると聞いた兼本さんは「若い人を国にとどめる方法はないのか」と質問してみました。
次の瞬間、計画投資省の職員の即答に頭を殴られたような衝撃を感じました。
かねもと・ちはる/山口県出身。萩光塩学院高校卒業後、2023年に関西外大国際共生学部に入学した。福田和生准教授のインフォーマルゼミ(研究会)に所属し、ラオスへのスタディーツアーに参加した。
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