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STUDY ABROAD REPORT 留学レポート

≪Laos Study Tour REPORT≫国際共生学部2年 兼本千陽さん Vol.3/大いに悩まされて良かった

「Experiential Learning」を通してオールイングリッシュで学んでいる国際共生学部の2年生が2024年6月、スタディーツアーでラオスを訪れました。参加した外大生は何を見て、何を聴き、何を感じて、何を考えたのかレポートします。

スタディーツアーの序盤はあまりにも考えることが多過ぎて、よく分からない涙が止まらなかったという兼本千陽さんですが、参加に際して挙げたテーマは「ジェンダー」でした。

UNFPA(国連人口基金)は、家庭内暴力を受けたり、性被害を受けた女性への支援に取り組んでいます。兼本さんは Gender-Based Violence Center や Youth Clinic などを訪ね、支援の最前線で活動する人たちから話を聞くことができました。


▲Gender-Based Violence Centerでスタッフから説明を受けました

被害者のシェルターを訪ねたときは、直前までプランを教えてもらえませんでした。シェルターの場所や被害者のプライバシーを徹底的に守るためでした。自分の子どもといつしょに暮らすことができ、町から離れた静かな場所で落ち着いて生活できます。ただ「孤独感や孤立感が生まれないか」「シェルターを出てから、同じような被害に遭うことが二度とないように生活していくことが本当にできるのだろうか」と疑問も生まれました。

ラオスの女性の社会進出を男女比率で見ると、女性管理職や女性議員の比率は日本よりも高くなっています。データだけ見ればジェンダーをめぐる課題は日本ほど深刻でないようにも見えます。しかし、現地で話を聴けば聞くほど、日本では想像もできない課題が数多く潜んでいました。


▲Youth Clinicを訪ねました(中央が兼本さん)

ラオスには50の民族がおり、それぞれの民族が独自の慣習や生活スタイルを持っています。また敬虔な仏教徒が多く、宗教的な考え方も違います。「それぞれのコミュニティーがとても重視されています。UNFPAが直接乗り出して解決することが必ずしも望ましくないケースがたくさんあります」との説明を受けました。

問題の解決が慣習を全面的に否定することにつながる場合があります。「〝たとえ被害を受けても私は慣習を守りながら生きたい〟という人に対して、無理やり慣習を捨てろとはいえません。民族の慣習を奪うことは人権を奪うことにつながりかねないですから」と兼本さんは考えます。「選択肢をそろえることができて、自分で選択できるようになればいいんですが・・・」と話しました。


▲ラオス国立大学で学生のメンタルケアを行っているカウンセリングセンターも訪ねました(右から2人目が兼本さん)

スタディーツアーに参加したメンバーと共に、さまざまなことを見て、考え、悩みました。「だれからも解決策は出てきません。でも大いに悩まされることが良かったと思います」と兼本さんは振り返りました。

現実がここまで深く複雑だとは、授業では到底考えられませんでした。「いろいろな人から〝ラオスどうだった?〟って聞かれるんですが、なかなか言葉で説明するのが難しいんです」と兼本さんは繰り返しました。

2週間で受けた刺激の余韻はまだまだ続いています。

かねもと・ちはる/山口県出身。萩光塩学院高校卒業後、2023年に関西外大国際共生学部に入学した。福田和生准教授のインフォーマルゼミ(研究会)に所属し、ラオスへのスタディーツアーに参加した。

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