STUDY ABROAD REPORT 留学レポート
≪Study Abroad REPORT≫ オランダ・ハーグ応用科学大学Vol.4/外国語学部英米語学科3年 守田陵汰さん /ある日曜日のハーグの朝
日曜日の午前中、ハーグの街角ではあまり人を見かけません。みんな週末を存分に楽しむので、日曜日の朝はゆっくりです。こういう時間帯は街を独り占めできるので結構お気に入りです。
特にこの日は晴れていて空気が澄んでいました。秋の到来です。
▲川では白鳥たちが出迎えてくれました
気持ちの良い天気だったのでカメラ片手に散歩に出掛けました。10分ぐらい歩いて、川沿いを散策していると1人の男性が釣りをしていました。映えていたので「これは声を掛けるしかないと」と思い、写真を撮らせてもらえないか尋ねてみました。すると快く「OK」と言ってくださいました。
その男性は2年前にオランダに移り住んだ60代のウクライナ人の方でした。
▲釣りをしていたウクライナの男性と話が弾みました
話は弾みました。釣りのこと、私の学業、政治のこと・・・・・・。そしてやはり戦争の話になりました。
彼は私が日本人であることを伝えると、「日本が戦争を止めてほしい」と口に出しました。そして彼はこう付け加えました。「日本には技術があるじゃないか」と。これがリアルな声なのだと感じました。
彼はとても気さくで冗談まじりに話していました。しかし本当は、もっと言いたいことがあるように感じました。
そして日本人は海外に出てみるべきだと強く感じました。島国を出て、少しでも世界の情勢に肌で触れると、日々の雑事に追われて、気づかないうちに無駄にしている時間も、誰かにとってはとても大切で、かけがえのないものであるということを実感できます。
ハーグの日曜日の朝に、静かな川辺で、ウクライナ人の男性と言葉を交わしたことを、私が思い浮かべるように、ちょっと話したことのある人やお気に入りの景色を少しでも思い浮かべることができると、必要とされているところに手を差し伸べることができるかもしれません。そして少しでも平和に貢献できるかもしれません。
この男性は、いつもはもう1人の方と釣りをしているそうですが今日は1人だったみたいです。そして魚は冷たい気候が苦手らしく、「今シーズンは今日で最後かも」と言っていました。
もう彼には会えないかもしれません。「一期一会」という言葉があります。とても意味のある、考えさせられる出会いでした。
私の留学はリベラルアーツ留学という名前です。直訳すると「教養の留学」という意味です。授業を受けるだけでなく、こういった街での出会いも一つの教養になり、人生の糧になると考えています。
▲道端に咲いていたマリーゴールド。ハーグはすっかり秋の装いです
もりた・りょうた/徳島県出身。高校2年までは化学と数学が得意で薬剤師を目指していた。徳島県立城南高校を卒業し、2022年に関西外国語大学入学。2024年8月からオランダ・ハーグ応用科学大学で留学生活を送っている
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