STUDY ABROAD REPORT 留学レポート
≪Study Abroad REPORT≫オランダ・ハーグ応用科学大学Vol.10/外国語学部英米語学科4年 守田陵汰さん/ローマ教皇の逝去と私たちの宗教観
今回はイタリアのローマとバチカン市国を訪れました。今回はそのときの様子をお届けします。以前に関西外大に留学していたアメリカ人の友人のリオさんが、ちょうどヨーロッパに遊びに来ており、共にローマを回ることになりました。

バチカンはカトリックの総本山で、ローマ教皇が住んでいることで有名です。ちょうどフランシスコ教皇が亡くなられた直後に訪れたことで、この旅は特別なものになりました。
ローマ市内のサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂では、教皇の墓が一般公開されています。私たちも実際に見学することができました。大聖堂には世界各国のメディアが集まり、カメラを構え、訪れた人たちにインタビューしていました。荘厳な雰囲気の中で、多くの人々が静かに祈りを捧げる様子を目の当たりにし、宗教がこれほどの人を動かす力を持っているのだと痛感しました。こうした歴史的な場面に実際に立ち会うことができたのも、まさにヨーロッパに留学することができたおかげだと感じました。

また、宗教について考える良い機会にもなりました。日本では、日常的に宗教を強く意識する人は少なくなってきているのではないでしょうか。そのため、クリスチャンとして育ったアメリカ人のリオさんと、信仰や宗教について語り合う時間はとても興味深いものでした。
「Secularization(世俗化)」という言葉があります。宗教の影響力が社会の中で弱まっていく傾向を表す言葉です。その一例として、アメリカやヨーロッパでも若い世代の中で熱心な信者が減少しているという話になりました。
その理由についても話し合いました。現代の生活が便利になったことや、日常における危機や不安が相対的に少なくなったことを挙げ、さらにグローバル化の進展などが影響しているのではないかという考えに至りました。昔と比べて、何かにすがらなければならない状況が減り、「超越的な存在に守られたい」と感じる場面も少なくなっているのかもしれません。

また、現代では、宗教を「古い価値観」と見なす声もあります。しかし、そう簡単に切り捨てられるものではないと感じました。伝統として守られてきた側面もあれば、多様性の一部として尊重される場面もあります。
多くの人が教皇の死を悼むために集まり、祈りを交わす姿を目の当たりにして、宗教が今も、文化やアイデンティティとして人々の心に深く根付いているものだと感じました。自分とは異なる価値観に触れ、考え、そして対話する時間は、自分の視野を広げてくれる大切な機会だと感じています。
もりた・りょうた/徳島県出身。高校2年までは化学と数学が得意で薬剤師を目指していた。徳島県立城南高校を卒業し、2022年に関西外国語大学入学。2024年8月からオランダ・ハーグ応用科学大学で留学生活を送っている
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