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STUDY ABROAD REPORT 留学レポート

≪The Path to Studying Abroad≫ 外国語学部英米語学科3年 栗岡瞭伍さん Vol.5/インプットを丁寧に、もう一度英語と向き合う

 留学前の準備教育として受講していた留学生別科の授業が修了して3週間ほど経ちました。忙しかった日々に一つの区切りがつきました。現在は、通常授業の必修科目の「English Presentation and Discussion A」と選択科目の「英語通訳演習」を受けています。

▲留学前の準備教育は一区切りつきました

 留学のための手続きも着々と進み、いよいよ出発が目前に迫っています。時間に少し余裕ができたここ最近、「自分自身の英語力」について立ち返って考えることが多くなりました。

 以前から友だちに勧められていた「日本語の日記を英訳する」というものを始めました。よく考えると今の自分に最も必要ではないかと思います。母語で考えたこと、聞いたこと、思ったことを素直に英語にしていくことで、英語の解釈レベルを日本語と同等に持っていこうというものです。

 よく「英語脳を創るために、脳みそを英語漬けにしなさい。すべて英語で聞いて、読んで、考えて、話しなさい」といわれます。ある程度その感覚が身についてきた今、日本語から英語へのいわゆる〝翻訳的思考〟も意外に効果的なのではないかと思います。将来、通訳・翻訳を通じて世界に打って出るためにも、この訓練法は決して無駄ではないと信じています。

 私は入学から今までの2年半、毎日嫌というほど英語に触れてきました。留学生別科の授業では、今までに培った英語力を最大限活用し、課題やプロジェクト、プレゼンテーション、ディベートなどに打ち込みました。「留学生に負けないぞ」と意気込み、毎週8コマの授業に全力で取り組みました。

 日常的なコミュニケーションから学術的な議論まで、幅広く英語で対応でき、困ることはほとんどありません。しかし、稚拙な表現や同じような言い回し、テンプレート化してきた挨拶などにハッとすることがあり、自分の英語に物足りなさを感じています。英語学習における”横ばい”とでも言えばいいでしょうか、成長がない状態がずっと続いていました。

▲通常の授業の課題に取り組んでいます

 そんな時、ふと思い出したのが「サピア=ウォーフの仮説」でした。簡単に言うと、「言語は私たちの認知や思考プロセスに影響を与える」という考えです。言語学の授業で初めて知った時は、興味深く感じていただけですが、最近では自分の体験と照らし合わせながら、その仮説をより深く考えるようになりました。

 同じことでも言語が違えば、考える角度や視点が変わるような気がします。「文構造の違い(SOVとSVO)」「英語でよく使う無生物主語」「日本語でしばしば見られる主語の省略」などを例に挙げれば、「何が重要で何が重要ではないか」「伝え方や考えるときに優先するものは何か」といったことが英語と日本語でかなり違います。しかしここで、私が着目したのはよりシンプルな「語いの量」でした。

 仮に言語が人間の認知機能や思考プロセスに深く関与しているとすれば、語いの差によって、思考の深まりや広がりに優劣が付くのではないかと考えます。つまり、表現しようとする「語い」がなければ、その思考にすら至らないということです。母語である日本語に比べて、語いのキャパシティーが半分ほどしかない英語で物事を捉えるのは不利な気がします。

 オールイングリッシュの留学生別科の授業では、アウトプットを中心としたカリキュラムが多く、その分生徒や先生との交流が増えます。その中で、分からない内容や単語を無視したり、知ったかぶりをすることがよくありました。どこか変なプライドもありました。分からない自分を認めるのが少し嫌で、調べることが億劫になっていたなと今では思います。

 自分の英語に嫌気がさすような毎日は、できればもう終わりにしたいです。これからはインプットも丁寧に行い、基本に立ち返りながら、もう一度英語と向き合おうと思います。

 留学生に誘われたことをきっかけに、2回ほど生け花クラブにお邪魔しました。自国の文化や歴史を海外の人に伝えることは、留学生としてとても大切なことです。貴重な機会になりました。

▲生け花は自国の文化を学ぶ貴重な機会になりました。きれいな写真に残そうと撮影に苦労しました

 型や作法はあるものの、個人の感覚や個性が強く出るのところが面白く、友達の作品を見るのがとても楽しかったです。日本人の学生が留学生と交流しながら自国の文化を学ぶのはとても良い機会です。みんなが笑顔で、生けた花を大事そうに持って帰る姿がとても印象的でした。

 留学前のこの時期だからこそできることに精一杯取り組み、後悔のないスタートを切れるようにしたいと思います。

くりおか・りょうご/大阪府出身。大阪府立いちりつ高校卒業後、2023年4月に関西外国語大学外国語学部英米語学科に入学した。留学生と外大生の交流を深めるイベントのリーダーとしても活動している

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