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≪大学院にようこそ Vol.5≫ 国際人権法・比較憲法/福田和生・国際共生学部准教授

※関西外大通信「THE GAIDAI」318号の特集「大学院の新プログラム」を基にまとめています

≪大学院にようこそ Vol.1≫「学部・大学院修士5年教育課程」が2025年度スタート/菊池清明教授に聞く

≪大学院にようこそ Vol.2≫大学院目指す2人に聞きました/外国語学部英米語学科4年・冨永友香さん、同3年・守田陵汰さん

≪大学院にようこそ Vol.3≫ 大学院の研究とは何か/2024年3月博士後期課程を修了した川口尚毅さんが語ります

≪大学院にようこそ Vol.4≫ 金融行政・グローバル金融経済/出水博章・外国語学部教授

 大学院の新プログラムの導入に伴い、学生のキャリアパスの形成を見据えて、新たな分野から教員を抜擢します。UNDP(国連開発計画)のモンテネグロ事務所とラオス事務所での駐在経験を持つ福田和生・国際共生学部准教授に語っていただきました。

ふくだ・かずお/パデュー大学大学院修士課程修了(政治学)。インディアナ大学ロースクール博士課程修了(法学博士、Ph.D.)。在米日本大使館、UNDP(国連開発計画)モンテネグロ事務所及びラオス事務所での勤務を経て、2023年8月から関西外国語大学外国語学部准教授、24年から国際共生学部准教授。専門は、比較憲法、国際人権法、慣習法など。

■実体験通して力を養う

 修士課程で人権法を専攻した私は、専門性を生かしたいと国連開発計画(UNDP)に入り、モンテネグロ事務所に2010年から1年半、ラオス事務所に2011年から6年間駐在しました。

 現地では民主的ガバナンス実現に向け、法整備支援と議会支援を担当しました。途上国では、国の基盤が整っていないことが多いため、国内のルール作りや、批准する国際条約の国内への適用、基本的人権の保護強化といった面のサポートに従事してきました。

 私が所属する国際共生学部では、Experiential Learningを軸にしているので、授業内外で学生が実体験を通して、自分で考えていく力や解決策を見つけ出す力、さらに実践していく力を養う機会を創出したいと思い、2023年12月に学生12人とインフォーマルゼミを立ち上げました。このゼミでは、Human Rights、International Organization、SDGsの3つの柱を軸に学生がそれぞれ興味のある分野で研究を進めています。

■ラオスへスタディーツアー

 2024年6月には、同ゼミに参加する学生ら6人とスタディーツアーでラオスを訪問しました。研修先にラオスを選んだのは、UNDPラオス事務所での勤務経験があったことと、国際共生学部のコンセプト「グローバルエンゲージメント」を実現していく上で、学生たちに世界を見てもらう必要があると感じたからです。国連が定めたSDGsを見ても、途上国への支援が大きな柱となっています。学生が実際に途上国を訪問して現場を見ることで、学べる幅も広がると感じたのも大きな理由です。

 現地滞在中は、UNDPやJICA(国際協力機構)、UNICEF(国連児童基金)など国際・政府機関を訪問し、大臣級の方々とも交流しました。学生たちがクラスのなかで学んだことを、自分の目で見て、感じるものがあったことが大きな成果だったと思います。

 そのほか、国連人権理事会の下で行われているUPR(普遍的・定期的レビュー)への貢献として、日本の大学としては珍しいステークホルダーレポートをブータンの審査のために提出しました。今後も国連加盟国に人権に関する政策提言をしていきたいと考えています。

■現場を訪ねて実践的授業

 大学院では国際機関での経験を踏まえ、実践的な授業に取り組んでいきます。国づくりには政府機関、大学、学校、NGOなどさまざまな機関が携わっています。それぞれの取り組みが実際に現場でどう展開され、どう生かされているかを感じ取ってほしいので、今後もスタディーツアーを続け、大学院生も連れていきたいと思います。

 

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